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これまで読んだ数学書をまとめていきます。基礎系・解析系・代数系・幾何系・確率系・読み物系と六分類してまとめることにします。
サイエンス社のSGCライブラリは別にまとめるつもりなので、除外します。

基礎系


内田、『集合と位相』、裳華房

講義の教科書だったから読んだ。集合と位相って難しいね。けど、多様体などいろいろなところで必要になるから何か読んどいたほうがいいんだよね。松坂さんのやつ読みやすいって聞いたけど、どうなんだろ。

藤田、『「集合と位相」をなぜ学ぶのか ― 数学の基礎として根づくまでの歴史』、技術評論社

学部時代に一応勉強した集合と位相を全く理解していないので、そもそもどうして必要なのか、あると何が便利なのか知りたくて読み始めた。フーリエ変換から微積分で現れる連続性や積分可能性などを解説し、そして集合についての歴史的な経緯を分かりやすく説明している。その後、集合の濃度や集合の連続性などの話題が出て、ルベーグ積分で現れる測度に至り、最終的に集合と位相がなぜ数学の標準語になったか書かれていた。集合と位相という分野が完成した歴史的経緯やそれがどうして現代数学の基礎になってるのか分かりやすく書かれていてよかった。

解析系


難波、『微分積分学』、裳華房

大学の講義のレジュメが難しかったから、自分で勉強してみようと思って買った。普通の本だが、大学の専門書ってこんなに間違いがあるんだって思った。

ハイラー・ヴァンナー、『解析教程 上』、丸善出版

大学の講義のレジュメが難しかったから、友達に聞いて薦められた本。上下巻に分かれてて、日本の大学の講義は確か下巻の方にあたる。
訳者がです・ます調の人でなんか読みづらかった。

ハイラー・ヴァンナー、『解析教程 下』、丸善出版

アメリカの教科書って、日本のものより、高校から大学へのギャップが少なくて割と読みやすいらしく、この本もそうなんだけど、いろいろな話を歴史に基づいて導入するため少し読みにくい。 たぶん、大学の講義の参考書には向かないんだろうな。
訳者がです・ます調の人でなんか読みづらかった。

杉浦、『解析入門 I』、東京大学出版会

途中まで読んだ気がするけど本当に読んだか自信ない。下手すると、積読リストに入ってただけかもしれん。

杉浦、『解析入門 II』、東京大学出版会

複素解析と多様体のところは読んだはず。

スピヴァック、『スピヴァック多変数の解析学―古典理論への現代的アプローチ』、東京図書

確か、多様体の講義の教科書か参考書になってたから読んだ本だと思う。別に読む必要はなかった。

アールフォルス、『複素解析』、現代数学社

複素解析の本格的な本で、だいたいこの本がおすすめされている。ただし、かなり難しいので、数学が得意な人でない限り読まない方がいいのではないかと思う。
定義・定理・証明というよくある数学の本の順番と異なっており、数学系の人がなんか読みにくいって言ってたなー。物理系の自分としてはそれがよかったんだけどな。

神保、『複素解析入門』、岩波書店

とても分かりやすく、物理系の人にもおすすめできる。

江沢、『フーリエ解析』、朝倉書店

もともと講談社から出版されていた『理工学者が書いた・・・』っていうシリーズのうちの一冊。物理の本に書いてあるフーリエ変換の内容より深く知りたいという人にはおすすめ。ただし、フーリエ変換の公式などよく使う式がどこかにまとめられているわけではないので、あまり参照するのには向いていない。第1刷はありえないほどの誤植があるので、第2刷以降を選んで買うようにした方がいいと思います。

笠原、『微分方程式の基礎』、朝倉書店

確か、3回生向けの微分方程式の講義の教科書になってた本。高崎さんの本で物足りないと感じたので、こっちも読んだ。

高崎、『常微分方程式』、日本評論社

3回生向けの微分方程式の講義の教科書になってて、読みやすそうだったからこの本で勉強した。

志賀、『ルベーグ積分30講』、朝倉書店

30講シリーズのルベーグ積分。ルベーグ積分の気持ちは分かった気がしたけど、そこまで真面目に読んでないってのもあって詳しくは理解できていない。本格的な本ではないと思う。

吉田、『応用のための関数解析』、サイエンス社

大学院生のときに読んだ本。いろいろ誤植を指摘したので、誤植一覧のところに名前載ってる。

三輪・伊達・神保、『ソリトンの数理』、岩波書店

可積分系について勉強しようとして読んでいたけど、難しすぎて挫折した。あれ、微分積分学を学んだ学部生なら読めるって書いてあったのに。おかしいな。。。

代数系


石谷、『2次行列のすべて』、現代数学社

高校のときに塾の先生に薦められて、読んでいた本。受験期だったのと、あとなんか理由あって、最後まで読んでない。

和田、『数の世界 整数論への道』、岩波書店

高校のときに読んでたけど、途中までしか読んでない。読み終わったら感想書くつもり。

永田、『理系のための線型代数の基礎』、紀伊国屋書店

大学の講義の教科書だった本。具体例もあり、悪くはない。結局、ジョルダン標準形は分からなかった。
ちなみに京大をもとにした『数学であそぼ。』という漫画にも登場する。

長谷川、『線型代数』、日本評論社

全部読んだことない。量子力学への応用などいろいろなことも書いてあり、面白い。けど、量子力学は勉強した後だったし、新しいことはなかったな。
第二版が出たらしい。くっ。

齋藤、『線型代数入門』、東京大学出版会

東大の院試対策と線型代数の復習として読んだ本。とても読みやすく、具体例も豊富な標準的な本なので、誰にでもおすすめできる。しかし、著者自ら指摘しているようにジョルダン標準形についての説明がすごくわかりにくい。どうやら、姉妹本の演習本に新しく書き直した説明があるらしいのだが、読んだことはない。買ってはいるんだけど。

永田・吉田、『代数学入門』、培風館

大学の講義の参考書になってるし、同じ著書の線型代数の本もよかったという理由で読んでみた。序盤は分かりやすいんだけど、徐々に難しくなっていくし、分かりにくいってので、あんまり分かっていない。

平井、『線形代数と群の表現 I』、朝倉書店

まだ上巻だけしか読んでない。数学者の書いた本で、とても読みやすかったと思う。

佐藤、『群と物理』、丸善出版

素粒子系の人だとジョージアイの群論の本を薦められると思うけど、個人的にはこの本の方が数倍いいと思う。代数だけでなく幾何学的な見方もあるし、水素原子への応用もあり、とても面白い。ただ、絶版になっていて、入手が困難(しかも、図書館にもない)なのは残念。復刊ドットコムでやってみたけど、進展ないみたいだし。
2016年に復刊した。素晴らしい。

山内・杉浦、『連続群論入門』、培風館

長らく絶版だったけど、2010年にした。が、10年も経って品切れになってしまった。
ほぼすべてを数学者である杉浦さんが書いたらしいけど、読みやすかった。 あまり、物理への応用は書かれていないので、「物理のため」のって本がいい人なら、「群と物理」や「群と表現 (理工系の基礎数学 9)」なんかがいいと思う。

Georgi、『Lie Algebras In Particle Physics』、Westview Press

素粒子系の人で群論を勉強したいといえば、必ず薦められる本。けど、個人的にはそんなに読みやすいとも思わなかった。日本語訳もある。

田代、『テンソル解析』、裳華房

特殊相対論を勉強しているときに、テンソルが分からなくて読んだ。結論として読む必要はなかった。 特殊相対論の本でなれるのが、一番テンソルについて理解できるんだなって分かった。

幾何系


松本、『多様体の基礎』、東京大学出版会

自主ゼミで読んだ本。具体例が多くて、物理系の人でも読めるくらいの難易度だった。

岩堀、『ベクトル解析』、裳華房

裳華房の数学選書というシリーズのベクトル解析。このシリーズは数学系向けのかなり本格的な数学書だが、 この本は比較的物理系向きな本。ただ、やはり難しく、そもそもこの本でベクトル解析勉強しなくてもいいじゃんって思って読むのやめてしまった。他にいい本もあるので、わざわざこの本を読む必要はないと思います。

野水、『現代微分幾何入門』、裳華房

数学書の微分幾何の本ぐらい読んでいて当然とイキっていた大学院生のときに読んだ本。
結局、物理の計算しようと思うと、こういうしっかりした数学の定義より、一般相対論で書かれてる成分表示の方が便利だよね。

小林、『曲線と曲面の微分幾何』、裳華房

読んだのは確か。そこまで難しかった覚えはないけど、10年以上前のことだからどうだろ。

中原、『理論物理学のための幾何学とトポロジー I』、日本評論社

以前はピアソン・エデュケーションという会社から出版されていたが、日本評論社から再販された。さらに原著の第2版の翻訳になった。
物理系の人が多様体を勉強しようと思うと、だいたい薦められている本。 よく推薦されてはいるけど、扱っている内容のことを学ぶのならきちんとした数学書を読むほうがいいと思う。理由として、定義が少しおかしいところがあったり、誤植がきわめて多いから。
数学ができる人なら、数学書、苦手な人なら和達さんの『微分・位相幾何』を読むといいと思う。

中原、『理論物理学のための幾何学とトポロジー II』、日本評論社

同上。

和達、『微分・位相幾何』、岩波書店

いわゆる幾何トポよりコンパクトにまとまっていて読みやすい本。確か大栗さんの微分幾何の講義の参考書にもなってた気がする。

松本、『トポロジーへの誘い』、日本評論社

160ページと薄く、読み物的な本。4次元多様体は結構非自明ということが分かりやすく説明されててよかった。

確率系


東京大学教養学部統計学教室、『統計学入門』、東京大学出版会

学部1回生か2回生向けの統計の授業の教科書になってたはず。だから読んだはずなんだけど、全然記憶に残ってないので、平均と分散の定義くらいしか覚えてない。
2023年再読。以前読んだときは流し読みした感じなので今回は丁寧に読もうと思ったけど、後半流し読みみたいな感じになってしまった。確率や統計の本としてよくおすすめされる本で、おすすめされる理由を考えてみると
  • 昔は選択肢が少なかった
  • 東大文系の1年生でも理解できる程度の前提知識しか要求しない
な気がした。改めて読むと
  • 例やプログラミング関連の記述が古い
  • レイアウトが見づらい
  • 確率論に関する曖昧な記述がある
などが目についたので、30年前の古い本で勉強しなくても、もっと初学者向けの本や本格的な本で勉強すればいいと思った。

薩摩、『確率・統計』、岩波書店

伏見、確率と確率過程を読んでいたところ、あまりにも基礎知識が欠けてて読み進めるのに苦労してたので、先に簡単な本を読んでおこうと思って読んだ本。岩波書店のシリーズはいい本が多くていいなって思った。

伏見、『確率と確率過程』、朝倉書店

講談社から出版されていた『理工学者が書いた数学の本』シリーズのうちの一冊。それが金融工学の基礎シリーズとして朝倉書店から復刊された。
内容は金融とは関係なく、学部1・2回生でも読める確率の本。ただその中でも比較的厳密に書かれている印象。後半の確率過程の部分はやや駆け足で書かれてる感あったので、別の本で補った方がよさそう。

森村・木島、『ファイナンスのための確率過程』、日科技連出版社

ファイナンスとタイトルについてるけど、オプションの価格付けとブラックショールズの公式が初めの方に出るのと具体例が金融系に関わるの以外は、数学者によって書かれた普通の確率過程の本。普通に難しい。

松原、『入門確率過程』、東京図書 

確率過程の他の本が難しく感じたので、評価の高いこの本をまず読んでみようと思った。具体例多めで、行間も広くないのでスラスラ読めた。

松原、『入門ベイズ統計』、東京図書

入門確率過程のついでに借りてみた。初めてのベイズ統計の本なので、この本が他の本と比べて分かりやすいのかどうか分からないが、すごく分かりにくく感じてしまった。自分が慣れていないだけのせいかもしれないけど。
ベイズ統計でやっていることって、すごい機械学習の教師付き学習に似てるなって思った。

原、『測度・確率・ルベーグ積分 応用への最短コース』、講談社

ルベーグ積分について、読み物以上の知識が欲しくて読んだ。この本の目的は、証明は基本的に省き、速度論・ルベーグ積分・確率に関して基本的な定義や定理になじんでもらうという感じである。
証明がないのは、初学者向けの本や応用に念頭を置く本としては構わないけど、説明が物足りない感じがあり、なんかよく分からないなぁ、というモヤモヤした気持ちになった。測度論・ルベーグ積分に関しては、『「集合と位相」をなぜ学ぶのか ― 数学の基礎として根づくまでの歴史』の方が分かりやすかった。

シュリーヴ、『ファイナンスのための確率解析I』、丸善出版

京大のファイナンス工学の参考書になっていたり、クオンツや金融工学で調べるとほぼ必ずおススメされている本。I巻は2項モデル(株価が上昇するか下落するかの2択で表せる模型)だけを取り扱っているので、数学的には難しくなかった。II巻への橋渡し的な本だと思ってるけど、どうなのだろうか?

シュリーヴ、『ファイナンスのための確率解析 II 連続時間モデル』、丸善出版

金融工学の有名本の第2巻。たぶんマスト本。
計算ほとんど追ってないし、章末問題も解いてないので、読んだというより一通り眺めただけ。一巻は伊藤積分を一切使わない二項モデルに限ってるけど、二巻は伊藤積分をしっかり使う本格的な内容。日本語で書かれた典型的な本に比べ、はるかに説明が丁寧なので、ルベーグ積分とか確率論に不慣れでも十分読める素晴らしい本。
一巻は読んでなくてもいいと書かれつつも、ところどころに一巻を眺めないと分からないところ(一巻でやった例題や定理などが説明なしで現れる)があったのは残念。

馬場、『時系列分析と状態空間モデルの基礎 RとStanで学ぶ理論と実装』、プレアデス出版

Amazonレビューを見ると高評価だし、おすすめとしてもよくあがる本。入門書として見ると確かに高評価される理由は分かるが、個人的には全くいい本だと思えなかった。気になった点をまとめるとこんな感じです。
  • 改行が多く、ブログのような書き方。空行が多いのも気になる。
  • 定義が書かれていない。AR過程やMA過程の反転条件の定義は書かれているが、ARMA過程の定義は書かれていないなど。雰囲気や読者の類推で乗り切ろうとしているように感じた。
  • 状態空間モデルの説明の内容が薄くて、この本だけでは分かった気にすらなれない。モデルの原理よりプログラミングができることを重視している。
沖本本に出てくる数式を難しいと思わないなら、もっと難易度の高い本を読む方がよいと思った。

内山、『機械学習のための確率過程入門 確率微分方程式からベイズモデル,拡散モデルまで』、オーム社

挫折。生成AIで登場する拡散モデルも扱っているとのことなので気になって読み始めてみた。第1刷なので誤植がある程度あることは予想してたけど、この本だけで正しい表式を導くのがほぼ無理になってきたので、68ページまで読み進めて挫折。類書などから引用したであろう数式が多数あるが、前提条件が書かれていなかったり、表式自体が間違っていることがあるため、正しい表式を他書や論文から探し出すのがとても大変だった。
Amazonレビューで低評価レビューが2件あるが、個人的にはこれらの低評価レビューに同意である。入門書と銘打ってはいるが、数式が羅列されてるだけで説明が乏しいので、この書籍の内容である確率過程や確率微分方程式などの前提知識がないと読み解くのは難しいのではないかと思う。

石井・上田・前田・村瀬、『わかりやすいパターン認識 第2版』、オーム社

機械学習か数学かどっちに分類すべきか微妙だけど、機械学習本に分類。
パターン認識で有名な本である「パターン認識と機械学習」が難しいということなので、類書で評判のいい本として読み始めた。数式の変形は一行一行丁寧に行われているので、数式で躓くことはないものの、説明が分かりにくかったり、話題が唐突に変わったり、章や節の繋がりが見えなかったりとタイトルにあるほど分かりやすいと思えなかった。他の類書を読んだことないので、そういう本と比較するば、わかりやすい部類の本なのかもしれない。

石井・上田、『続・わかりやすいパターン認識 教師なし学習入門』、オーム社

わかりやすいパターン認識の続編。類書を読んだことないので、あてにならない感想かもしれないけど、正直分かりにくかった。数式変形はとても丁寧で、計算を追うために時間がかかるということはないんだけど、唐突に話題が変わったり、説明がまどろっこしくて、消化しきれなかった。11章の後半からの難易度変化もやばかった。

読み物系


神永、『直感を裏切る数学』、講談社

統計、確率、図形、論理の4章から構成されている本。その中でタイトルの通り直感を裏切ってるのは、統計と確率かな。図形や論理でも、へーって思える話もあったが、あまりにも有名な問題だったりするので、すでに知ってるし、っていうのが多かった。高校生が読むと面白いかも知れないが、大学生が読むと、知ってる問題が多すぎると思われる。

大栗、『数学の言葉で世界を見たら』、幻冬舎

大栗さんの本、全制覇。
これまでに書いていた本は、素粒子論に関する本で、大栗さんの専門の内容だけど、この本はそれとはほとんど関係ない数学の話。ガロア理論のところは知らなかったから面白かった