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これまで読んだ物理学書をまとめていきます。以前に適当にまとめていたので、感想だったりおすすめ本の紹介だったり、コメントはかなり適当です。物性理論がどこからどこまでなのか分かりにくく、読んだ本の種類も少ないので、物性っぽい本は全部物性扱いにした。
サイエンス社のSGCライブラリは別にまとめたので除外します。
の順番で、大体読んだ順に並べました。

力学


青山、『力学 2007年度版』、学術図書出版社

授業の教科書だったから買った本。正直に言って、授業の教科書でなければ読む必要の全くない本。毎年改定しているけど、章末にある過去問以外ほとんど変わっていない。
日本語もひどいし、図の説明もどのような状態を表しているか本当に分かりにくい。たとえ、教科書であっても中古で古い版の本を買う方がいい。

戸田、『力学』、岩波書店

青山氏の力学の本が難しかった(といっても、今思うと難しいのではなく、ただ単純に授業の補足資料としての内容しか書いていないから分かりにくいだけ)から、簡単な本を読んでみようと思って買った本。初学者向きに書かれているため、少し物足りないところもある。

小出、『力学』、岩波書店

小出ファンだったから、力学も読んでみようと思って買った本。とてもよかった(はず)。難易度としては、戸田力学より上。

ファインマン・レイトン・サンズ、『ファインマン物理学 I』、岩波書店

ファインマン物理学シリーズの第一巻。大学での授業の参考書としては全く役立たないけど、とても面白い本。特殊相対論についても書いてあるから、相対論を知らないときに読むとテンションが上がる。大学の物理では、ベクトルを書くとき、太字を使うけど、この本では手書きで書き方の例があり、参考になるなって思った。

ランダウ・リフシッツ、『力学』、東京図書

有名なランダウ物理学教程の第一巻。力学というタイトルだけど、扱っている内容は解析力学。難しいけど、すごくいい本。しかし、拘束条件がある場合について載っていないから、そこは別の本で補う必要があると思う。ちなみに、英語版であれば、無料でpdfファイルが公開されています。

小出、『解析力学』、岩波書店

ランダウ・リフシッツ難しいから、簡単な本を読んでみようと思って買った本。あと小出さんだったし。 力学の方はしっかり書かれていたが、解析力学の方はかなり初心者向きに書いてあり、期待外れだった。

江沢、『解析力学』、培風館

ランダウ・リフシッツはいい本なんだけど、拘束の話がまったくない。そこで、拘束がある場合を勉強しようと思って読んだ本。演習問題も豊富なところはいいけど、江沢さんの本って、誤植が結構多い・中途半端に数学的に話をしている気がするので、受け付けない人もいるかも。どうやら、絶版になったみたい。

山内・末岡、『大学演習 力学』、裳華房

裳華房から出てる大学演習シリーズの力学。中古の古い本が300円だったので、買ってしまった。ただ、解析力学に関する問題はほとんどなく、院試の対策のためにはあまり向いてないと思う。 院試のためには、やはり演習書より本にある問題を解く方がいいと思う。

山本・中村、『解析力学I』、朝倉書店

発展的な内容の解析力学の本。たぶん日本語で書かれた解析力学の中で一番内容が高度。そのため、初学者が読むような本でもないし、院試に役立つような本でもない。
拘束類について知りたかったからそこだけ読んでみた。

山本・中村、『解析力学Ⅱ』、朝倉書店

発展的な内容の解析力学の本。たぶん日本語で書かれた解析力学の中で一番内容が高度。そのため、初学者が読むような本でもないし、院試に役立つような本でもない。
拘束類について知りたかったからそこだけ読んでみた。

菅野、『ゲージ理論の解析力学』、吉岡書店

「ゲージ変換」=「第一類拘束条件の線型和」ってことを理解するために読んだ本。日本語の本だと、拘束類の話をきちんと書いたのは、これを含めて数冊しかないだろうな。今見たら、在庫がないらしい。

電磁気学


長岡、『電磁気学I 電場と磁場』、岩波書店

大学の講義の教科書に指定されていたから読んだ本。教授曰く、本当は砂川・電磁気を教科書にしたかったけど、物理専門にしない学生には難しかったので、簡単なこっちを教科書にしたとのこと。無駄に分厚いせいで分冊になっているけど、内容としてはそんなにない。簡単な内容しか扱っていないので、物理系の人なら砂川さんの電磁気学を読んだ方がいいと思う。ベクトル解析も極力使わないような内容だったし。

長岡、『電磁気学Ⅱ 変動する電磁場』、岩波書店

大学の講義の教科書に指定されていたから読んだ本。教授曰く、本当は砂川・電磁気を教科書にしたかったけど、物理専門にしない学生には難しかったので、簡単なこっちを教科書にしたとのこと。無駄に分厚いせいで分冊になっているけど、内容としてはそんなにない。簡単な内容しか扱っていないので、物理系の人なら砂川さんの電磁気学を読んだ方がいいと思う。ベクトル解析も極力使わないような内容だったし。

砂川、『電磁気学』、岩波書店

結局、長岡さんの本では物足りなくて読んだ。長岡さんの本と比べて難しかったけど、物理行こうと思うなら読めないといけないレベルの本だった。

砂川、『電磁気学演習』、岩波書店

上に挙げた砂川さんの『電磁気学』の姉妹本。『電磁気学』で導出された式を使う問題が与えられるので、Maxwell方程式からすべて導出しようとすると難しい。院試対策として読んだけど、あまり院試対策にはならなかったかも。

砂川、『理論電磁気学』、紀伊國屋書店

院試に関しては必要十分な本だと思うけど、すごく退屈な本。岩波書店の『電磁気学』に比べて難しいです。多くの初学者向けの本は、実験的事実からマクスウェル方程式を類推・導出するところから始めるが、この本は逆に、マクスウェル方程式から実験的事実を説明する。岩波書店の方にないこととして、放射・特殊相対論などがある。特殊相対論は別の本の方がいいと思いますが、放射に関しては、岩波の方はあまり書かれていないので、こちらを読むことをおすすめします。

ファインマン・レイトン・サンズ『ファインマン物理学Ⅲ』、岩波書店

ファインマン物理学シリーズの第三巻。このシリーズの他の本は、大学の講義には役立たないが、この本だけは例外。分かりやすく、そして面白く電磁気学を説明してくれており、とにかくいい。欠点としては、講義を基にしているため、講義で到達しなかった輻射に関する部分が少し不完全であること。

ファインマン・レイトン・サンズ『ファインマン物理学Ⅳ』、岩波書店

ファインマン物理学シリーズの第四巻。電磁気学の続編で物質中の電磁気学を扱っている(確か)。第二巻で扱った内容についてははしょられているところがあった気がする。

Jackson、『Classical Electrodynamics』、Wiley

洋書でとても有名な本。日本語訳もあるけど、訳されていない文があるなど完全ではなかった。鏡像法について多くの具体例があり、とても参考になった。ほかにもいろいろなことが書かれている。ただ、途中からCGS単位系に変わってしまう。単位系が変わった部分から読んでいないと思う。(自分が持っていた版の)表紙がかっこいい。

量子力学


小出、『量子力学 (I)』、裳華房

京大で自主ゼミの推薦書として挙がっていた本。とても読みやすいので、最初に読むといい本。ただ、ブラケット記号の説明が怪しかった気がする。

小出、『量子力学 (Ⅱ)』、裳華房

京大で自主ゼミの推薦書として挙がっていた本。とても読みやすいので、最初に読むといい本。ただ、ブラケット記号の説明が怪しかった気がする。

小出・水野、『量子力学演習』、裳華房

小出さんの量子力学の演習本。問題はそんなに難しくはなかった。

小出、『量子論』、裳華房

量子力学を読んでみたから、こっちも読んでみようと思った本。ほぼすべて量子力学とかぶっているので、読む必要はなかった。

猪木・川合、『量子力学I』、講談社

授業の教科書に指定されていたわけではないけど、演習がこれから出ていたのでほとんど教科書みたいだった本。量子力学に関する基本的なことはすべて網羅されているので、おすすめです。問題演習も解答付きで載っているのもいい。ただ、一部の問題はかなりマニアックだけど。

猪木・川合、『量子力学Ⅱ』、講談社

授業の教科書に指定されていたわけではないけど、演習がこれから出ていたのでほとんど教科書みたいだった本。量子力学に関する基本的なことはすべて網羅されているので、おすすめです。問題演習も解答付きで載っているのもいい。ただ、一部の問題はかなりマニアックだけど。

サクライ、『現代の量子力学 上』、吉岡書店

標準的な量子力学の教科書を読んだのなら、この上巻を読むことを強く薦めます。ブラ・ケットの記述がとても分かりやすく書かれています。ちなみに下巻は読まなくてもいいです。著者が執筆途中で亡くなってしまったため、上巻に比べかなり分かりにくい記述になっているから。 第2版・第3版が出たのだが、なんで全く関係ないような人が本を改訂しているんだろうか?正直、初版の方がいい気がする。
姉妹書として『演習 現代の量子力学』という解答集がある。全く分からないような問題に対しては参考になるけど、あまりいい解答ではないため、これを参考にしつつ、自分で新しく解答をつくらなければならない。

サクライ、『現代の量子力学 下』、吉岡書店

自分が読んだのは初版なんだけど、第2版・第3版で、この本を教科書として採用していた教授が共著者となり、加筆をした。初版では分かりにくい箇所などもあったりしたけど、この加筆はどう評価されるんだろうか?個人的には版を改めて、原著が入手できなくなるくらいなら、新しく入った共著者単独で量子力学の教科書書けばよかったんじゃないかと思うんだけど。
姉妹書として『演習 現代の量子力学』という解答集がある。全く分からないような問題に対しては参考になるけど、あまりいい解答ではないため、これを参考にしつつ、自分で新しく解答をつくらなければならない。

ファインマン・レイトン・サンズ、『ファインマン物理学Ⅴ』、岩波書店

ファインマン物理学シリーズの第五巻。面白い本だけど、大学での授業の参考書としては全く役立たない。構成はJ. J. サクライに似ている(シュテルン・ゲルラッハの実験の話から始まるあたり)。

上田正仁、『現代量子物理学』、培風館

冷却原子や量子情報に関する話題を中心にして書かれた本。院試向きの本ではないが、近年の量子力学の応用について書かれており、面白い。絶版になって、すごい高い値段になってる。

ファインマン・ヒッブス、『量子力学と経路積分』、みすず書房

量子力学を経路積分によって定式化したファインマンの講義録。この本を読むなら少なくとも標準的な量子力学を勉強しておく必要がある(個人的には、場の量子論を勉強したあとにこの本を読む方が理解が深まってよかったのかもと思う)。
ただ経路積分だけを知るなら、『現代の量子力学』の方が分かりやすくていいと思う(量子電磁気学やブラウン運動への応用なども書かれている)。この本を読む上での最大の注意は、計算すればするほど誤植がでてくるところである。だいたいの式が間違っている。Doverから出版されているものとその翻訳では、どうやら誤植が直されているらしい。ちなみに、この本にある演習の解答本もある。LaTeX製本でなくて、めちゃくちゃ見にくかったはず。

佐川・吉田、『量子情報理論』、丸善出版

第二版を買ったまま積読をしていたら、いつの間にか第三版が出ていた。量子情報の入門の本ですが、あまり分かりやすいという気はしなかった。

石坂・小川・河内・木村・林、『量子情報科学入門』、共立出版

この前に読んだ『量子情報理論(佐川・吉田)』に比べてだいぶ読みやすかった。こちらの方がページ数はあるものの初学者向きだと思う。
特に、量子エンタングルメント関連に関しては、こちらの方が充実していて良かった。量子通信と量子暗号に関しては、初めて勉強した分野ということで????という感じだった。

西森・大関、『量子アニーリングの基礎』、共立出版

時代は量子コンピュータ。ビッグウェーブに乗るときが来たのですよ!

量子コンピュータとして量子アニーリング型とゲート型の2種類が知られていて、数年前に話題となったD-Waveは前者の量子アニーリング型。著者たちが以前に書いた本では数式を使わずに説明してたので、ある程度数式を使ってその量子アニーリングについて説明しようという本。難易度としては、量子力学と統計力学の知識がないとほぼ全部分からない気がするので、学部3回生以上向けな気がします。
分かりやすかったかと言われると、個人的には後半に行けば行くほど内容に対して数式や説明が省略され気味になってると感じて消化不良になってしまった気がするので、あまり分かりやすくなかった気がする。

熱・統計力学


佐々、『熱力学入門』、培風館

教科書に指定されていたから買った。比較的公理論的に熱力学を説明しているため、具体的なイメージがつかみにくく分かりにくかった。評判は結構いいみたいだけど、個人的には初学者にはおすすめしない。一通り勉強した後だと、分かりやすい気がした。

小出、『熱学』、東京大学出版会

量子力学を読んで、小出さんの本は分かりやすいんだなって思ったから買った本。とても分かりやすかった。 初学者や公理論的に説明してある熱力学の本が苦手な人はこういう本を読むといいと思う。

長岡、『統計力学』、岩波書店

田崎さんの統計力学の本が出る前だと、みんなこの本持ってた。具体例も豊富でとにかく読みやすかったから、おすすめ。ただ、田崎さんの統計力学の本が出てしまって、どうやらそっちの方がいいらしい(読んだことないけど)。田崎さんの本以外も読んでみたいというならこの本を薦めます。

久保、『統計力学』、共立出版

裳華房から発売されている演習本でも有名な久保さんの書いた教科書。本の最初の方はとても分かりやすく書かれているが、徐々に難しくなっていく(というより、説明が簡潔に?)。もうすでに古い本なので、この本で勉強するならほかの本の方がいいと思う。

久保、『大学演習 熱学・統計力学』、裳華房

統計力学苦手だなー、と思ってたし、この本有名だしなーってことで、演習問題を解いてみた。A・B・Cの三段階に分かれてるんだけど、Aの問題ですら十分難しい。結局、Aの問題しか解いていないし、それでも全部解いてないな。

西森、『相転移・臨界現象の統計物理学』、培風館

ゼミで読んだ本。相転移や臨界現象に関することが書かれている。少し読みにくい日本語が多かった気がするが、それでも日本語で読めるという点で良かった。
著者のホームページに誤植一覧がある。(ちなみにこの誤植一覧を作ったのは私だ!ははは!)

和達、『結び目と統計力学』、岩波書店

岩波の読み物シリーズの一冊。80ページと薄い本。研究室においてあって、なんか面白そうだから前から読んでみようと思っていたのをやっと読んだ。「結び目と統計力学」というよりかは、「結び目と可積分模型」のほうが向いている感じだった。

ファインマン・レイトン・サンズ、『ファインマン物理学Ⅱ』、岩波書店

ファインマン物理学シリーズの2冊目。読んだのは間違いないけど、光・熱・波動がどの程度の割合だったのかすら忘れた。

沙川、『非平衡統計力学: ゆらぎの熱力学から情報熱力学まで』、共立出版

読み物的な本ということにして、外観を眺める感じで一通り読んでみた。非平衡熱力学ではエントロピーはシャノン・エントロピーで与えられるのと、なんかいろいろな不等式が成り立っていることが重要でありそうということが分かった。

相対性理論・重力理論


内山、『相対性理論』、岩波書店

序文に「この本を読んで相対性理論が分からなければ、あきらめた方がいい」的なことが書かれていて、有名な本。読んでみて、そんなにわかりやすかった気もしないので、この本以外にもいい本あるはずだから、この本でわからなくてもあきらめる必要はないかな。

ワイル、『時間・空間・物質 上』、筑摩書房

タイトルに惹かれて読んでみた。書いてある内容は基本的に特殊相対論の内容だけど、古い本だから歴史書的な価値しかない。少なくとも、これで特殊相対論を学ぶことはできない。あまりにもつまらなくて、下巻の途中でやめてしまった。

ワイル、『時間・空間・物質 下』、筑摩書房

タイトルに惹かれて読んでみた。書いてある内容は基本的に特殊相対論の内容だけど、古い本だから歴史書的な価値しかない。少なくとも、これで特殊相対論を学ぶことはできない。あまりにもつまらなくて、下巻の途中でやめてしまった。

ディラック、『一般相対性理論』、筑摩書房

ディラックの書いた一般相対性理論の本。すごく薄い。一般相対性理論の必要最低限しか書かれていないので、結局は別の本も読む必要があると思う。

ランダウ・リフシッツ、『場の古典論』、東京図書

前半は電磁気学と特殊相対論で、後半で一般相対論が書かれている。電磁気は別の本で勉強したのと単位系がSIではなかったので、一般相対論の部分しか読んでいない。ランダウ・リフシッツの本にしては説明が丁寧でわかりやすかった(気がする)。

Wald、『General Relativity』、University of Chicago Press

大学院生向きの一般相対論の本。特異点定理の説明のところはHawking・Ellisの教科書からの引用が多く、この本だけでは、全く理解できない。

Hawking・Ellis、『The Large Scale Structure of Space-Time』、Cambridge University Press

物理学者の書いた一般相対論の本の中で一番数学的にしっかりした本。自主ゼミで読んでいたけど、M2文献紹介で忙しくなったせいで自然消滅してしまった。

内山、『一般ゲージ場論序説』、岩波書店

ゲージ理論に関する本だが、もう歴史書的な価値しかない。大してためになることも書かれていなかった。絶版になったけど、岩波オンデマンドで入手できます。

藤井、『超重力理論入門』、産業図書

もともと、マグロウヒルから出版されていた本。その後、産業図書から再版された。四脚場についての説明がとても分かりやすかった。退屈せずに全部読めた。

ファインマン、『ファインマン講義 重力の理論』、岩波書店

研究室にあったので読んだ。場の理論でスピン0,1/2,1,3/2,2のように徐々に大きいスピンを持つ理論を考えると、スピン2で重力子が見つかるので、仮にアインシュタインが一般相対論を見つけなかったとしても場の理論さえ発展していけばいつかは一般相対論は発見された、ってエピソードだけ印象に残っている。他は忘れた。

場の理論


Peskin・Schroeder、『An Introduction to Quantum Field Theory』、Westview Press

場の量子論の教科書で多く読まれているであろう本。とにかく嫌いだという人もいるが、この本をきちんと読むと、ループ計算などの計算がきちんとできるようになる。
物理的意味を理解するには適していない気がするが、場の量子論に現れる計算をマスターするにはいい本だと思う。

九後、『ゲージ場の量子論 I』、培風館

序文に学部3回生でも十分通読できると書かれているが、難しすぎて読めないはず。ところどころに挫折ポイントがあるが、1章にあるスピノルもそうなので、買う前に図書館で借りて1章だけでも読んでみることを勧める。お金を無駄遣いしなくても済むはず。
拘束系の話がしっかり書かれており、役に立った。

Ramond、『Field Theory: A Modern Primer』、Routledge

ある偉い人に薦められて読んだ本。350ページと場の理論の本にしては薄く、説明も簡潔で分かりやすかった。Peskin・Schroederの本はごちゃごちゃと説明が長く、「あれ、今何やってるんだっけ?」と思うことがよくあったが、この本ではそんなこともなかったからいい復習になった。

Srednicki、『Quantum Field Theory』、Cambridge University Press

ポスドクのとき復習のためにフェルミオンくらいまで読んだ。
Peskin・Schroederと同じくらい標準的な教科書となっている。計量にmostly plusを採用しているようにとても現代的な本。また、スカラー・フェルミオン・ゲージ場を独立して書いているのと、各章がとても細かく分かれているので、あとで見返すのにちょうどいい教科書になっている。

高橋、『古典場から量子場への道 増補第2版』、講談社

Proca場などよくある場の量子論の入門書に書かれてないこともあるが、別に無理して読む必要はないと思う

高橋、『量子場を学ぶための場の解析力学入門 増補第2版』、講談社

場の解析力学の本。確かに場の量子論で正準量子化するときに、場の解析力学は必要になるんだけど、基本的に普通の解析力学を無限自由度に拡張すればいいだけだし、そもそも場の量子論の教科書に書かれているから、この本でわざわざ学ぶ必要ないよね。

西野、『今度こそ分かる場の理論』、講談社

一言でいうと、「値段の高いブルーバックス」。そして、お薦めできない。
サイエンス記事なんか読んでると、「場の理論」や「場を量子化すると」とか「重力場」なんかのように「場」ってなんだろうってなるけど、いざ、場の理論や場の量子論ってタイトルの本を読むと、難しくて分からない。物理系の人であっても学部4年までに触れないことも多い。そして、普通の場の理論の本は、研究者が研究者の卵の向けに書いてるから、分かりにくいので、もっとわかりやすく書いてみようっていうのがこの本の目的らしい。
多くの場の理論の本が英語で書かれているし、さらに行間を読んでいかないといけなくて難しいから、このような目的の本があってもいいとは思うが、この本はあまりいい本な気がしない(以下で説明する理由により、2章の途中で読む必要なしと判断し、残りは読んでいない。)

「だから(??)粒子の生成や消滅は相対論的な効果が重要(???)となる、高いエネルギーあるいは非常に高温の時のみ(??)考えるべきことである----と邪推してはいけない。」(19ページ、脚注2)にあるように、文中にところどころ「(??)」や「(?!)」といった記号が入る。そして、その意味が分からない。
また、「じゃあ、|エチ>はな~んだ?答えは、エチケット。では|ビス>と|クリ>は?」(15ページ、脚注10)のように物理と全く関係のない、ただ著者が書いてる時に思い付いた戯言が書いてある。

このような本を見ると、やはり正攻法で勉強するのが一番最短なのでは、と思ってしまう。

Wess・Bagger、『Supersymmetry and Supergravity』、Princeton University Press

SUSY(超対称性)と超重力に関する標準的な教科書。ただひたすらに数式が書いてあって、その数式の間に少しコメントがある感じの本。日本語訳もあるけど、わざわざ訳す必要あるのか?ってぐらい英語が少ない。ある偉い人に超重力のところは読まなくてもいいって言われたので、SUSYのところしか読んでない。

Terning、『Modern Supersymmetry』、Oxford University Press

最近の進展を含めてSUSYに関するいろいろな内容が書かれた本。というよりか、さまざまなレビューをまとめただけの本。かなりいいと絶賛している人もいるんだけど、各章ごとにnotationが異なっていて、すごく読みづらい。たぶん、一回SUSYを勉強した後だと、いいのかもしれない。章末にある参考文献のリストはすごくいい。

Birrell・Davies、『Quantum Fields in Curved Space』、Cambridge University Press

曲がった時空上での場の量子論の本で一番有名な本。M1くらいのときに眺めた。

Coleman、『Aspects of Symmetry』、Cambridge University Press

コールマンによる有名な講義録。最後の2章でソリトンとインスタントンを扱っている。某教授がゼミでできる本がこれのインスタントンの部分しかないので、ゼミでこのインスタントンの部分を読んだ。この本読む前に、Rajaramanの本を読んでたんだけど、そっちの方が断然読みやすかった。今となっては、すでにこの本を読んだ人と会話するための言語を理解するような本の気が。。。
large Nのところもあとで読んだ。

Rajaraman、『Solitons and Instantons』、North Holland

ソリトン・インスタントンを勉強するのに、ある人から薦められた本。Colemanのように説明に飛びがなく、説明も分かりやすいので、独学でも十分読めると思う。

Elvang・Huang、『Scattering Amplitudes in Gauge Theory and Gravity』、Cambridge University Press

重力の散乱振幅をユニタリーにしようとすると、無限個のスピンの粒子を導入しないといけないので、自然と弦理論が高エネルギーの理論としてあるように見えるっていう主張が2016年くらいにこの本の著者であるHuangとArkani-Hamedによってなされていた。そこで、ポスドク1年目くらいに助教や学生らと一緒にゼミをした。MHV amplitudeやKLT relationなど、Scattering amplitudeの話題がほぼ網羅されていた。

Strominger、『Lectures on the Infrared Structure of Gravity and Gauge Theory』、Princeton University Press

全部arXivで公開されてて、それを読んだ。本として出版もされているので一応ここにも記録しておく。
soft theorem、メモリー効果、漸近対称性の関係をまとめたレビュー。

江口・菅原、『共形場理論』、岩波書店

入門的な本ではないので、なかなか難しかった。超対称な共形場理論やカレント代数など、入門書にはあまりない話題について丁寧に書いてあった。

疋田、『共形場理論入門 基礎からホログラフィへの道』、講談社

2次元共形場理論以外にも、ホログラフィーや高階スピンゲージ理論など最近の話題が入っており、面白かった。

ハルツェン・マーチン、『クォークとレプトン―現代素粒子物理学入門』、培風館

素粒子物理学の本でよくおすすめされる本。確かに実験系の人にとってはいいと思う本だが、理論系の人はきちんと場の量子論の本を読んだ方がいいと思う(読むなら、場の量子論を勉強した後の方がいいと思う。)。理論系にとっては、劣化版Peskin・Schroederって感じがする。理由として、この本はループ計算など量子補正についてはあまり詳しく書いていないのと、場の量子論の本に同じことが書かれているから。ちなみに、日本語版は絶版になってる。

原、『素粒子物理学』、裳華房

買ってみたけど、読むべき内容はなかった。コラムは面白かった。やっぱり、教科書シリーズのようなシリーズものの本ってだめなんだな。

戸塚、『素粒子物理』、岩波書店

これも微妙だった。やっぱり、場の量子論をきちんとやらないと、ただラグランジアンを式変形するだけだし。分かった気にはなれるけど、本当に理解できていないんだよね。結論として、素粒子物理というタイトルの本は買わない方がいい。

Cottingham・Greenwood、『An Introduction to the Standard Model of Particle Physics』、Cambridge University Press

日本語訳もあるが、訳者が専門家ではない上に、変な用語ばかりあてはめており、決しておすすめできない。この訳者の本は買わない方がいいと思う。原著の方もそんなにいい本ではないから、おすすめはしない。

神吉、『クォーク・グルーオン・プラズマ』、丸善出版

近くの本屋で中古として売ってるの見かけて、買ってみた本。真面目に読んだわけではないけど、QCDの有効模型なんかとQGPへの応用が書いてあった気がする。ただ、RHICなんかの実験で以前の予想と異なる結果も出てたはずだし、学ぶならもっと新しい本を読んだ方がいい気がする。

弦理論


Zwiebach、『An Intoroduction to String Theory』、Cambridge University Press

前提知識は、電磁気・統計力学・量子力学・特殊相対論だけなので、学部3回生でも十分に読める上に弦理論の基礎からAdS/CFTなどの最先端までとても分かりやすく解説してくれる夢のような本。ただ、一般相対論と場の量子論の知識があると、より理解が深まる。弦理論を勉強しようと思うなら、まずこの本を読むとよい。
日本語訳もあるが、訳語がおかしい・不必要にルビが振ってある・専門家でもないのに、どこで仕入れてきたか分からない耳知識を不必要に訳注として入れてあるという理由で決しておすすめしない。

Polchinski、『String Theory Vol. 1』、Cambridge University Press

弦理論を勉強したいというと、絶対に薦められる本。上巻はボソニックな弦理論を扱っている。必要なことはすべて書かれているが、かなり難しい。
あんまり理解していないし、全部計算追ってないから時間があれば読もう。

Polchinski、『String Theory Vol. 2』、Cambridge University Press

弦理論を勉強したいというと、絶対に薦められる本。下巻はタイトルにもなっている超弦の話。必要なことはすべて書かれているが、かなり難しい。
あんまり理解していないし、全部計算追ってないから時間があれば読もう。

Green・Schwarz・Witten、『Superstring Theory』、Cambridge University Press

Polchinski, Becker・Becker・Schwarzを加えた三大有名な弦理論の教科者。D-braneが発見された弦理論の第二革命前の本なので、そのあたりの話は載ってない。
超弦理論の定式化について、GSWではPolchinskiとは異なる定式化のGS formalismが使われているので、それを詳しく知りたい場合はGSWを読むといいらしい。

Becker・Becker・Schwarz、『String Theory and M-Theory』、Cambridge University Press

GSWやPolchinskiの本と一緒によく薦められる本。演習問題もあって、教科書っぽい感じはするけど、ところどころ説明がない部分もあり、arXivにあるようなレビューな感じがする。 (本全体を通じてnotationは統一されているから、別々にレビューを読むよりかは楽な気がする。)
発売年が弦理論の本の中では最新だから、比較的最先端の内容が載っていて面白い。Polchinskiとかで勉強した後に、復習と比較的最近の話題を知るのにはいいと思う。

太田、『超弦理論・ブレイン・M理論』、丸善出版

日本人が書いた数少ない弦理論の本。本の構成はポルチンスキーと似ている。ポルチンスキーとの大きな違いは、著者の研究内容だった超重力理論の古典解部分について詳しく書いてある。

Ammon・Erdmenger、『Gauge/Gravity Duality Foundations and Applications』、Cambridge University Press

AdS/CFT対応について書かれた数少ない教科書。共同研究者が絶賛してた。
この本の発売前にかなりのレビューを読んでAdS/CFT対応を勉強したので、研究に必要なところだけを読んだ。notationがちゃんと整っていたので、途中から読んでも参照しやすくてよかった。

江口・今村、『素粒子の超弦理論』、岩波書店

教科書というより読み物的な本。ザイエンス社の数理科学の記事のような難易度だったと思う。

橋本、『Dブレーン―超弦理論の高次元物体が描く世界像』、東京大学出版会

学部3回生のときに読んだので、もう内容を忘れてしまった。確かソリトンとかの説明があって、「何!?弦理論をやるにはソリトンを勉強しないといけないのか」と思って流体力学を勉強した気がする。大して関係なかった。

吉田、『明解 量子重力理論入門』、講談社

ほぼ読み物的な本に近いが、他の読み物的な弦理論の解説書よりかは専門的に書かれている。量子重力の難しさや量子重力の有力候補として、弦理論とループ量子重力が説明してあり、概観するには悪くない本だと思った。ループ量子重力については、この本が書かれて以降にもいろいろ問題点が見つかってるらしいから、この本に書かれているほど有力とは思えないんだけど。。。

細道、『弦とブレーン』、朝倉書店

230ページくらいの薄い本。主に国立台湾大学での講義を基にして書かれた本。超弦やブレーンが早く登場するので、ポルチンスキーに入門する前に読むといいのかも。

物性理論


有山、『振動・波動』、裳華房

振動・波動という講義で教科書か参考書になってたから読んだ本。だいぶ前に読んだので、あまり内容は覚えてないが、少なくとも悪い本ではなかった。姉妹本として演習書があるけど、勉強してた当時、絶版だったからあんまり内容は知らない。

巽、『連続体の力学』、岩波書店

「どうやら場の量子論や弦理論ではソリトンというものがあるらしい。ということはソリトンとは何かを知ろう。」という動機で読み始めた本。場の理論とかのソリトンと連続体でのソリトンは用語が同じだけで、あまり関わり合いのないものってのが分かってしまった。この本はとても読みやすかったです。

イバッハ・リュート、『固体物理学 21世紀物質科学の基礎』、丸善

第4版が出てるけど、自分が読んだのは第2版だったはず。大学の授業での教科書だった。もともとはドイツ語の本で英語なんかにも訳されている。日本語訳は、物理系の人と工学系の人の二人が訳していて、電場と電界というように用語が固定されていないのが気になった。電場だ!

フック・ホール、『固体物理学入門 下』、丸善

大学のゼミでこの本の超伝導の部分を読まされたんだけど、だめな本だったな。説明もいいかげんで分かりにくかったから、結局レポート書くときも他の本を参照したし。

de Gennes、『Superconductivity Of Metals And Alloys』、Westview Press

超伝導の自主ゼミをすることになって、どの本がいいかってなったけど、理由は忘れたけど、この本になった。
ロンドン方程式とかマイスナー効果の説明は、熱力学的な関係式を用いて説明してくれているので、すごくわかりやすかったんだけど、BCS理論の話になるとなんかすごく分かりにくかった。超伝導は自発的対称性の破れの結果だ!って他のところに書かれてたから、それが分かると思ってたんだけど、結局分からなかったな。 ちなみに、養賢堂から「金属および合金の超電導」というタイトルの日本語訳が出ていたらしい。

山田、『電子相関』、岩波書店

うん、難しかった。はっきり言って、全く理解していない。

西森、『スピングラスと連想記憶』、岩波書店

西森さんの相転移の本を読んだ後、読んでみようと思った本。教科書というよりかは、簡単な研究紹介って感じの本だった。

読み物


佐藤、『宇宙物理への道―宇宙線・ブラックホール・ビッグバン』、岩波書店

高校の授業で買った本。
だいぶ前に読んだので、詳しい内容は覚えていません。著者の大学生活の様子などが書かれていたな。あと、遠い宇宙観測するってことは、遠い昔のことを観測しているわけで、それに何の意味があるんだ?って思った。

ワインバーグ、『宇宙創世はじめの3分間』、筑摩書房

結構前に読んだからあんまり内容覚えてない。

ワインバーグ、『電子と原子核の発見 20世紀物理学を築いた人々』、筑摩書房

量子力学の誕生と場の量子論の発展までの話だった気がする(だいぶ前に読んでるせいで、結構忘れている)。この本に、「電磁気学の教科書では、ものをこすり合わせると、電荷が移動して静電気が発生する」という記述があるが、これは、まだ経験則であり、マクスウェル方程式から導出はされていないと書かれていて、驚いた。意外と古典電磁気学でも分かっていないことってあるんだ。

ファインマン・ワインバーグ、『素粒子と物理法則―窮極の物理法則を求めて』、筑摩書房

モノポールの話をなんか読んだ気がするんだけど、これだったっけ?
ファインマンが、ディラックのことをヒーローだって言ってたのが、印象に残ってる。

ディラック、『ディラック現代物理学講義』、筑摩書房

モノポールのことが書いてあったのこっちだった。巨大数仮説なんかも書いてあったなー。

南部、『クォーク』、講談社

ブルーバックスなのに、普通の教科書ぐらい(というかそれ以上)の内容と難しさがある。縦書きじゃなくて横書きにしてくれればもっと読みやすかったのにって思う。

レーダーマン、『神がつくった究極の素粒子 上』、草思社

素粒子物理の読み物は、多くが理論家が書いたものだが、この本は珍しく実験家が書いた本。この本を読むと、ノーベル賞受賞者のレーダーマンがいかにすごいかが分かる。ただ、アメリカの大型加速器は作られなくなってしまったので、この本に書かれている予想(2020年に超対称粒子が発見される)は外れるのでは? この本はおすすめです。
読んだのは2010年くらいだけどやっぱり予想は外れてた。

レーダーマン、『神がつくった究極の素粒子 下』、草思社

素粒子物理の読み物は、多くが理論家が書いたものだが、この本は珍しく実験家が書いた本。この本を読むと、ノーベル賞受賞者のレーダーマンがいかにすごいかが分かる。ただ、アメリカの大型加速器は作られなくなってしまったので、この本に書かれている予想(2020年に超対称粒子が発見される)は外れるのでは? この本はおすすめです。
読んだのは2010年くらいだけどやっぱり予想は外れてた。

朝永、『スピンはめぐる』、みすず書房

読み物のはずなのに、量子力学の前提知識が結構必要で量子力学勉強してなかったら全然理解できないんじゃない、って思った。英訳までされている本だけど、そこまで面白いと思わなかった。

大栗、『素粒子論のランドスケープ』、数学書房

これまでに大栗さんが書いたサイエンス社の雑誌の記事などを集めて一冊にした本。記事の難易度がそれぞれ書かれており、良心的。簡単な記事は知識がなくても読めるけど、難しい記事は弦理論の知識がある程度ないと厳しいかな。大栗さんのこれまでの研究についても書かれており面白かった。

南部、『素粒子論の進展』、みすず書房

この本は、素粒子論研究や物理学会誌に投稿した記事や研究会でのプロシーディングを日本語化したものを集めたもの。内容としてかなり重複していることが多く、ページ数の割にそこまで内容はないと思う。同じ話、10回くらい見た気がするし。この本を出すために、新たに付け加えたものはほとんどないので、その点も残念だった。ノーベル賞にあやかって出した本って感じだったな。ただ、その当時の素粒子論の情勢が分かって面白かった。

大栗、『強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く』、幻冬舎

既に専門書で学んでいる内容だから、本当に素人にとって分かりやすいのかどうかは分からない。最近のヒッグス粒子の話以外は、いままで読んだことのある読み物とだいたい同じような感じという印象だった。ヒッグス粒子に関する話は、やはり最近書いたとあって、LHCやらノーベル賞やらで面白かった。

大栗、『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』、幻冬舎

大栗さんの本、3冊目。あと、超弦理論入門でコンプリート(と思いきや、もう一冊あった)。
「強い力と弱い力」の方は、他の啓蒙書に書かれていることが多く載っていたため、あまり新しさを感じなかったけど、こっちの方は、自分が重力関係の読み物をあまり読んでいないせいか、楽しく読めた。トポロジカルストリングをかなり勘違いしてたことが分かった気がする。

大栗、『大栗先生の超弦理論入門』、講談社

大栗さんの本、4冊目。あと一冊でコンプリートのはず。
大栗さんの前に出版した本である『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』と『強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く』とかぶっているところが多く、読めば読むほど、なんかこれ前にあったな、って思う。興味深かったのは、大栗さんの修士のころの話だったね。うーん、なかなか修士を終わってすぐに助手になれる人なんかいないよなぁ。うーん、すごいなぁ。

東北大学金属材料研究所、『金属材料の最前線』、講談社

あまり物理や数学ではない分野の読み物を読むのははじめてかも。といっても、金属の話なので、物性よりの話も多いけど。
身近な材料の話から始まって、おのおのの研究分野の紹介になり、読んでいて、「へぇー、こんな研究やってるんだ。こんな物質あるんだ」って感じで新鮮味があった。しかし、化学に長い間触れることがなくなると、HとかCはすぐに分かるけど、遷移金属あたりのは分からなくなるね。

須藤、『ものの大きさ』、東京大学出版会

近くの本棚にあったので読んでみた。副題に「自然の階層・宇宙の階層」とあり、ミクロスケール(素粒子スケール)からマクロスケール(銀河レベル)まで幅広い「大きさ」を扱っているものの、著者が宇宙論の研究をしているため、ほとんど「宇宙」の話になっている。宇宙に関する話は他の本と大差ないのではと思うのだが、人間原理など、少しトンデモっぽい話もあり、そのような話は面白かった。ただ、宇宙の話なら他の本でもよいのではないかと思ったけど、具体的にいい本は思いつかない。

小山・中村・舞原、『見えないもので宇宙を観る』、京都大学学術出版会

京大で行われた宇宙物理の3人の教授の講演をまとめた本。約150ページと薄く、すぐに読めた。
重力の本といったら、いつも一般相対論の理論よりの本ばかり読んでいたので、X線天文学や赤外線天文学の話は新鮮で面白かった。

朝永、『物理学とは何だろうか 上』、岩波書店

研究室の本棚にあったので読んだ。力学と電磁気学の成り立ちについて書いてあった気がする。

ホッセンフェルダー、『数学に魅せられて、科学を見失う』、みすず書房

「物性物理学は理論物理学ではない」という文章があり話題になってたので気になって読み始めた。
この作者は、割と業績のある素粒子論のシニア研究者なんだけど、アカデミア業界や素粒子論の最近の潮流に疑問を感じていて、それを包み隠さず書いてる。そのため、disencourageな本になってるんだけど、個人的には割と確信を突いていると思うので、若い人で特に素粒子論志望の人には読んで欲しいなって思った。

朝永、『物理学とは何だろうか 下』、岩波書店

上巻が主に力学・電磁気学を話題にしてたのに対して、下巻は熱力学のお話。上巻に比べて少しテクニカルだった感じがする。あとは科学と文明という題目の講演の書き起こしだった。

村山、『宇宙はなぜ美しいのか 究極の「宇宙の法則」を目指してタイトル』、幻冬舎

初めて村山さんの書いた本読んだ。「美しさ・簡潔さ・自然さ」の観点で書かれていて、Lost in Mathと同じ趣向だな、と感じた。

鈴木、『暗黒物質とは何か 宇宙創成の謎に挑む』、幻冬舎

素粒子論的宇宙論の研究室に在籍していたので、さすがに暗黒物質くらいは知っておこうと思って読み物的な本として読んだ。最終章のスーパーカミオカンデの立ち上げのところが一番面白かった。

長谷川、『トポロジカル物質とは何か 最新・物質科学入門』、講談社

物性物理で流行ってるトポロジカル物質について前から気になっていたので、読み物的な本として読んだ。第I部と第II部がトポロジカル物質を説明するための前座で計180ページ、第III部がこの本のテーマのトポロジカル物質についてで、120ページを割いていた。難易度としては、第I部が高校生程度、第II部が学部1,2回生程度、第III部が学部3,4回生程度と感じた。本としては、高校生程度を想定しているみたいなので、第II部、第III部であっても大学物理の知識はなくてもいいように説明はされていた。
内容については、第I部は物性物理の入門の入門として、とても面白く、かつ分かりやすく書かれていてとてもよかった。第II部は、フェルミ面などの波数空間での記述が専門書よりも丁寧に書かれていたので、イメージしやすくてよかった。第III部に関しては、、、なんかよく分からんかった。対称性の定義を明白に書いてくれてないので、外部磁場があった場合とかにどのような操作をしているのかよく分からなかった。正直に言うと、数式を使って書いてくれないと分からない。
まとめると、第I部、第II部については物性物理の入門書としてとてもいいけど、第III部まで読んでもトポロジカル物質の雰囲気は伝わってくるけど、ふんわりしすぎてよく分からんかった。