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はじめに

以前の記事で旧帝大や研究所クラスの准教授になったときの採用時の論文数を調べました。
その後、この記事でフォーマル分野の准教授になったときの採用時の引用件数・h-index・g-index・hg-indexなどの指標についても調べてみました。
今回の記事では、現象論分野について同様の調査をしたいと思います。
 

指標について

業績を測る指標として、着任時での
  1. 総引用件数:
    自己引用件数も含んでいます。
  2. h-index:
    引用件数が h 以上の論文が h 本以上である最大の h のこと。inspire で業績として表示されているので、馴染み深い。論文の「質」を見るために有用な指標らしい。
  3. g-index:
    Sqrt[総引用件数]と総論文数の小さい方を g と定義する。そのため、g ≥ h という関係を満たしています。h-index に比べ、論文の「数」を見るのに有用な指標な気がします。
  4. hg-index:
    hg-index = Sqrt[hg]。h と g を補完するような指標らしい。定義から、g ≥ hg ≥ h という関係にあります。定義が簡単ですぐに計算できるので、これも計算してみる。
の4つを調べることにします。他にも様々な指標がありますが、計算するのが大変なので、気にしないことにします。まだ着任前の人のデータもありますが、気にしないことにしましょう。

使うデータ

前回と同様、調べる大学は、東大・京大・北大・東北大・東工大・ 名大・阪大・九大、研究所は、KEK・IPMU・YITPの三つとします。
 
また、准教授のうち、現象論分野(主にhep-phに論文を投稿する人)に限って調べることにします。上記の大学・研究所で准教授になった人全員を把握できていないのに加え、某データ一覧になかったため、データ抜けがあります。特に、2000年以前に関してはデータ抜けが多いと思います。
 
某データのリンクを貼っていいかどうか分からないので、どのデータを使ったかは秘密にしておきます。原理的にはinspireから調べられます。  

まず、前回の論文数を再掲すると(データ修正・追加しています)、
 
右端に輝く一点があるため少し判断しにくいですが、だいたい右上がり。この太陽のように眩い輝きを放っている一点を除いたグラフについて後で掲載するので、しばし待たれよ。

次に、総引用件数はというと、

 
こちらも、全体的に右上がりの傾向にあります。(点がオレンジ色なのは特に意味はありません。系列2にも特に意味はありません。仕様です。)
 
h-index, g-index, hg-index はそれぞれ、

 


となります。
やはり、右端に太陽のように輝く一点が眩いばかりの光を放っており、データが見づらくなっている気がします。そのため、この点を除いたデータのグラフを見てみましょう。
 

 



 

 
 
となり、基本的に全ての指標で右上がりの傾向が見て取れます。

ただし、注意として、インターネットの発達やarXivによって、若い世代の方が引用件数が多くなりやすいです。例えば、自分の論文が引用されてない論文があった場合、すぐに「引用してくれ」と言えるなど。
そのため、きちんと世代間格差をなくすためには規格化が必要ですが、すごく面倒なので、ここで止めておきます。

広島大学の教員の採用最低基準と比較しよう

広島大学では教員の採用最低基準を公表しているので、比較したいと思います。

准教授の採用最低基準であれば、博士号を所持しており、g-index (表は大文字ですが一緒です)が 10 以上あればいいことになります。つまり、論文数 10 以上かつ総引用件数 100 あればいいので、かなり緩い基準な気がします。

先ほどの g-index のグラフを見てもらうと分かるように、全員この条件を満たしています。
やはり、広島大学は素晴らしい線引きをしています!!

まとめ

論文数を調べたときと同様ですが、ポストが年々減っており、人事が動かないため、旧帝大・研究所クラスの准教授の採用時の業績は増加傾向にあります。特に、2014年以降では、素粒子現象論の准教授公募(結果として素粒子現象論の人が採用された公募)は4件しかありませんでした。それ以前に比べて、明らかに公募数が減っているのが分かります。ただし、2000年以前についてはデータ抜けがあります。
公正な人事である限り、准教授のボーダーラインは
  • 学位取得後: 10年前後
  • 論文数: 45
  • 引用件数: 1,200
  • h-index: 20
  • g-index: 35

ぐらいでしょうか。広島大学の採用最低基準で言うと、教授のものを超える必要があります。このボーダーラインを超えてる助教の方もいるので、今後現象論准教授のボーダーラインは上がっていくような気がします。

フォーマル分野と比較すると、平均して論文数が多いので、より採用時の業績は大きくなっている印象があります。


最後に

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