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はじめに

以前の記事で旧帝大や研究所クラスの准教授になったときの採用時の論文数を調べました。
その後、🥑「○○くんによるとinspireのデータだから使って構わないとのことです。」と連絡があり、某データの使用許可が下りたので、論文数だけでなく引用件数や h-index なども調べることにしました。
 
2021/7/23
 

指標について

業績を測る指標として、着任時での
  1. 総引用件数:
    自己引用件数も含んでいます。
  2. h-index:
    引用件数が h 以上の論文が h 本以上である最大の h のこと。inspire で業績として表示されているので、馴染み深い。論文の「質」を見るために有用な指標らしい。
  3. g-index:
    Sqrt[総引用件数]と総論文数の小さい方を g と定義する。そのため、g ≥ h という関係を満たしています。h-index に比べ、論文の「数」を見るのに有用な指標な気がします。
  4. hg-index:
    hg-index = Sqrt[hg]。h と g を補完するような指標らしい。定義から、g ≥ hg ≥ h という関係にあります。定義が簡単ですぐに計算できるので、これも計算してみる。
の4つを調べることにします。他にも様々な指標がありますが、計算するのが大変なので、気にしないことにします。

使うデータ

前回と同様、調べる大学は、東大・京大・北大・東北大・東工大・ 名大・阪大・九大、研究所は、KEK・IPMU・YITPの三つとします。 
 
また、准教授のうち、フォーマル分野(主にhep-thに論文を投稿する人)に限って調べることにします。某データ一覧になかったため、データ抜けがあります。
 
某データのリンクを貼っていいかどうか分からないので、どのデータを使ったかは秘密にしておきます。原理的にはinspireから調べられます。

まず、前回の論文数を再掲すると、

 
 
うん、右上がり。
次に、総引用件数はというと、

 
こちらも、全体的に右上がりの傾向にあります。(点がオレンジ色なのは特に意味はありません。仕様です。)
 
h-index, g-index, hg-index はそれぞれ、
 

 
 
となります。
基本的に全ての指標で右上がりの傾向が見て取れます。

ただし、注意として、インターネットの発達やarXivによって、若い世代の方が引用件数が多くなりやすいです。例えば、自分の論文が引用されてない論文があった場合、すぐに「引用してくれ」と言えるなど。
そのため、きちんと世代間格差をなくすためには規格化が必要ですが、すごく面倒なので、ここで止めておきます。

広島大学の教員の採用最低基準と比較しよう

広島大学では教員の採用最低基準を公表しているので、比較したいと思います。

准教授の採用最低基準であれば、博士号を所持しており、g-index (表は大文字ですが一緒です)が 10 以上あればいいことになります。つまり、論文数 10 以上かつ総引用件数 100 あればいいので、かなり緩い基準な気がします。

先ほどの g-index のグラフを見てもらうと分かるように、全員この条件を満たしています。
やはり、広島大学は素晴らしい線引きをしています!!
附属高校出身者として鼻が高いです!!

まとめ

論文数を調べたときと同様ですが、ポストが年々減っており、人事が動かないため、旧帝大・研究所クラスの准教授の採用時の業績は増加傾向にあります。
公正な人事である限り、准教授のボーダーラインは
  • 論文数: 40
  • 引用件数: 1,000
  • h-index: 15
  • g-index: 30

ぐらいでしょうか。広島大学の採用最低基準で言うと、教授のものを超える必要があります。ただし、2011年以降のデータに限ると、准教授となった人事は3件しかありません。そのためあまり基準が役に立たないかもしれません。

 
今回はフォーマル分野だけを調べましたが、気が向けば現象論についても調べてみようかと思います。 → 調べました。こちらです。
 
広島大学の採用最低基準の妥当性も示せて、個人的に満足でした。

最後に

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