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これまで読んだ経済関連の書籍をまとめていきます。分類はよく分からないので、暫定的に読んだ順で並べていきます。大学の図書館に置いてないような投資関連の書籍は別の記事でまとめます。

まとめ


真壁、『はじめての金融工学』、講談社

図書館にあったので、読んでみた。あんまり数式は出てこないんだけど、数式が出てくるところは未定義なことだらけで本当に分からない。最後に経済物理について書いてあって、その手法に対して物理って用語使う???って感じだった。

ノフシンガー、『最新 行動ファイナンス入門 原書3版』、ピアソン・エデュケーション

行動経済学の本。何かの本を読んでいたときに行動経済学の参考書として挙がっていたので、読んでみた。いろいろの研究結果を紹介し、人間は非合理な行動をするので、これまでの経済で仮定されていた人間の行動は間違っているよってのが書かれてた。

中妻、『Pythonによるファイナンス入門』、朝倉書店

Pythonの勉強もしたかったし、経済に関しても知りたいと思ってた。特に、Pythonをどのようにファイナンスに用いているのかのさわりだけでも分かればいいなと思って読み始めた。読んだ結果、Pythonもファイナンスの両方も説明不足であり、わざわざこの本で勉強する必要はないと思った。
まず、Pythonの本としてみたとき、for文やnumpyの使い方など基礎的なことは仮定されており、この本で扱っているPythonは初級の内容であるが、ファイナンスで現れる数式にどのようなコマンドやコードを用いればいいか書かれていない。自分でゼロから再現しようとすると、この本ではなかなか難しいと感じた。
ファイナンスの本としてみたとすると、大学の講義で指定される教科書の参考書に上がればいいほうな本と感じた。既に内容を知ってる人がさっとまとめるのにはいい本なのかもしれない。少なくとも期待したような本ではなかった。LaTeXで書かれてた点だけはよかった。

竹内、『ミクロ経済学って大体こんな感じです』、有斐閣

ミクロ経済学の雰囲気を味わって見たかったので、なんか良さそうな本を表紙で選んで読んでみた。この本は、中学数学までしか使わないようにして、ミクロ経済学の外観を分からせようという本。確かに雰囲気は伝わってくるんだけど、高校数学さえ使わないせいで、かえって分かりにくいところが多かった。あと説明がくどいというか不要な例えが多いというので、ページ数がかさ増しされてる気がする。
初めてミクロ経済学の本を読んだので、本の良しあしはよく分からないです。

沖本、『経済・ファイナンスデータの計量時系列分析』、朝倉書店

時系列データはどうやら大切らしいということで、よいという評判の本を読んでみた。詳しいことは他の本を見てっていう感じで詳しい説明や下手をすると定義すら書いてないこともあるけど、基本事項をざっと書いてはあるっぽいので、最初に外観を眺めるために読むならいい本なのかも。

森村・木島、『ファイナンスのための確率過程』、日科技連出版社

ファイナンスとタイトルについてるけど、オプションの価格付けとブラックショールズの公式が初めの方に出るのと具体例が金融系に関わるの以外は、数学者によって書かれた普通の確率過程の本。普通に難しい。

シュリーヴ、『ファイナンスのための確率解析I』、丸善出版

京大のファイナンス工学の参考書になっていたり、クオンツや金融工学で調べるとほぼ必ずおススメされている本。I巻は2項モデル(株価が上昇するか下落するかの2択で表せる模型)だけを取り扱っているので、数学的には難しくなかった。II巻への橋渡し的な本だと思ってるけど、どうなのだろうか?

田中、『計量経済学の第一歩 ― 実証分析のススメ』、有斐閣

計量経済学くらい知っておいて損はないだろう、ということで評判のよさそうな初学者向けの本を読み始めた。
経済学部一回生向けの本らしく、数式少なめ、その代わり言葉での説明たっぷりという感じなんだけど、数式を書かないせいで逆に分かりにくく感じた。あと、説明一切せずにt検定とかF検定使ってるのも知らないと分からないと思った。結局回帰分析するのが計量経済学で、データとかの取り扱いとか推定をきちんとしないと意味不明な結果になるから気を付けようってことを言いたいのだと理解した。

ハウゲン、『株式投資の新しい考え方―行動ファイナンスを超えて』、ピアソンエデュケーション

監修者はしがきに、経済学者は3度儲ける。一つ目は研究で見つけた市場アノマリーを利用し、投資で儲ける、二つ目はそれを論文としてまとめ学術雑誌に掲載することで給料が上がる、最後はそれを本にして出版することで儲ける、と書かれてた。この本はまさに三つ目の研究をまとめて本にして儲けるためのもの。
この本は、「市場効率仮説は仮定がそもそも間違ってるから間違い。高PER株より低PER株の方が儲かる」ということを主張したいみたいなんだけど、なんかめちゃくちゃ分かりにくい。高PER株と言ったけど、具体的に定義がはっきり書かれてないせいで、なんか著者が想像する儲からない株としか見えないんだよなぁ。うーん、微妙な本でした。再販されないのも無理はないです。

Hilpisch、『Pythonによるファイナンス 第2版 ―データ駆動型アプローチに向けて』、オライリー・ジャパン

金融×Python = 本質。類書をざっと眺めた感じ、この本が一番自分の求めてるのに近そうだった。
読了と言いつつも最後の第5部の大半を読み飛ばした。

Pythonの入門書を読んだ人向けに、ファイナンス関連で使われるPythonの技術や高速化の方法、機械学習などを一通りさっと説明していて、その後、ファイナンス特有の話題、例えば自動取引やオプション評価など、を扱ってる。ファイナンスと関係ない第3部までの内容は他の本でも十分補うことができるし、特に機械学習に関してはこの本で理解するのは無理なくらい説明不足だった。ファイナンスに関しては、第4部と第5部の二つで取り扱われてて、第4部の14章と16章でFXCMというウェブサイトを使うんだけど、そのサービスが日本で対応してないので、コードを眺めるだけになって残念だった。また、第5部ではオプションやデリバティブの評価などの話題を扱ってるんだけど、コードの説明をほとんどなしで、ただただ羅列してあって、それまでの内容とギャップがかなりあった。Pythonを使ったファイナンスの本ってなんかどれも微妙なような。。。

シュリーヴ、『ファイナンスのための確率解析 II 連続時間モデル』、丸善出版

金融工学の有名本の第2巻。たぶんマスト本。
計算ほとんど追ってないし、章末問題も解いてないので、読んだというより一通り眺めただけ。一巻は伊藤積分を一切使わない二項モデルに限ってるけど、二巻は伊藤積分をしっかり使う本格的な内容。日本語で書かれた典型的な本に比べ、はるかに説明が丁寧なので、ルベーグ積分とか確率論に不慣れでも十分読める素晴らしい本。
一巻は読んでなくてもいいと書かれつつも、ところどころに一巻を眺めないと分からないところ(一巻でやった例題や定理などが説明なしで現れる)があったのは残念。

ロペス・デ・プラド、『アセットマネージャーのためのファイナンス機械学習』、きんざい

読んだというより、一通り眺めたという感じなので内容はあんまり理解してない。
経済学者は三度儲けるという話があったけど、まさに三度目(自分の研究を本にする)という内容。教科書というよりかは、自分の論文のレビューというかコピペみたいな感じで、本の至る所で著者の論文が引用されてる。Pythonコードも載ってるけど、断片的過ぎるし、そもそもそのコード自体も著者の論文に書かれてるわけで。。。
なんで出版したの?とわざわざこれ読む必要ある?っていう疑問しかわかない。あと、Wordで製本されてるっぽくて、数式がところどころ斜体であるべきところが斜体になっていなくて気になった。

キンロー・クリッツマン・ターキントン、『誤解だらけのアセットアロケーション 実務家のためのガイド』、東洋経済新報社

そもそも普通のアセットアロケーションについてあまり知らないので、どのあたりが誤解されがちなのかは事前に知らない状態で読み始めた。読んでみると、誤解の多くが、前提を無視した結論だけが流布されているだったり、直観による推論だったりして、経済分野ではこんなにも論理をないがしろにするものなのかって驚いた。
それ以外にも、データの欠如やリターンの推定で完全に予測できない部分の取り扱いや為替リスクなど様々な話題があって面白く読めた。

ペイジ、『分散投資を超えて ―アセットアロケーションの実践』、きんざい

全然数式出てこず、ただただ説明って感じだけど、この本を理解できるのは運用に携わるレベルの人だけという難易度。もう少し数式とか使って分かりやすく書いて欲しかった。この本で学んだことをまとめておくと、
  • リターンよりボラティリティの方が持続性がある。
  • 短期・中期・長期関係なく、使用するバックテストデータは日次がいい。
  • ETFが流行ると、その暴落によって、ファンダメンタル関係なくETFに含まれる銘柄も暴落してしまう。それにより、パッシブ運用よりアクティブ運用にいい投資の機会が生まれてしまう。


カーバー、『アセットアロケーションの最適化 ポートフォリオの構築とメンテナンスのための統合的アプローチ』、パンローリング株式会社

付録と用語集を含めると700ページもある分厚い本。値段もその分高くて7,800円+税。
ページ数と値段の割に内容としては微妙だった。平均分散よりも等ウェイトやリスクパリティの亜種である著者の手法がいいって言いたいんだけど、そのための説明がだらだら長い。その亜種の手法も、資産を株や債券に分け、その後国別に分け、その後株を業界に分け、以下略のように徐々に階層を作ってウェイトやリスクを割り振るって手法で目新しさがそこまでないと思った。運用の人が書いた本なのに、バックテストの結果がほとんどなくて、結論ありきで書かれてるようにも感じた。Amazonの低評価レビューの個人のブログのような内容というのに割と同意。

和泉・坂地・松島、『Pythonによる金融テキストマイニング』、朝倉書店

朝倉書店から刊行されているFinTechライブラリーというシリーズの一冊。このシリーズの本はタイトルに金融とあって、内容も面白そうなものが多いんだけど、Amazonのレビューを見るとかなり評判が悪い。読んでみて理由が分かった。
まず、本の体裁。ページ数としては200ページないくらいの短い本なんだけど、コードのところだけ、文字が少し小さくなっており視認性が悪い。さらに数ページにまたぐ長いコードがあるにも関わらず、公開されていない。プログラミングすることを想定してる本でこれは厳しい。この本以外の朝倉書店の本全般について言えることだと思う。
肝心なのはこの本の内容。著者たちは、もともと工学系研究室の出身者でその後金融の方にも手を出し、研究領域を広げてきたみたいで、巻末の文献リストを見ると、英語論文はないけど、日本語の論文かプロシーディングはあった。和泉研究室のホームページにも、金融ツールを公開するくらいに金融の知識はあると思われるものの、この本だけは、テキストマイニングの専門家が入門書の入門部分に金融で使われているデータをとりあえず入れてみただけっていう感じで、「金融」とタイトルに付けるほど金融特有のことが扱われていなかった。全ページ166ページで、Pythonなどのインストールや深層学習のまとめを除くと、113ページ。この本で扱いたいのはテキストマイニングであるにも関わらず、それと関係ない深層学習の説明が入ってるのは謎。CNNやRNN、LSTMなどの説明やコードが書かれてるんだけど、あまりにも駆け足過ぎて、知ってる人は既に知ってるので読まなくてもいいし、知らない人なら全く分からないという内容だと思った。データとして金融データを使うせいで、損失関数は下がってるけど、正答率は全然上がらないということになってるのも初学者向きではないと思った。
その113ページからさらに導入部分の1章と展望の最終章を除くと78ページ。数ページ埋めてるコードやコードの説明(import numpy as npなどに関してもnumpyを使うためにインストールした、的なコメントが入る)などもあって、テキストマイニングの説明に割いているページ数があまりにも少ない。あと、Javaを使うなら先に書いておいて欲しいとも思った。
テキストマイニングをやりたいなら、たぶん別の本を読む方が絶対にいいと思った。どの本がいいかは知らないけど。

三井住友信託銀行マーケット事業、『第7版 投資家のための 金融マーケット予測ハンドブック』、NHK出版

500ページと分厚い本だけど、図や表が多めなので、実質ページ数は300ページ程度に感じた。内容は、経済指標、各国経済の動向や政策、商品市況と為替市況、テクニカル分析などだった。金利や為替などの基礎的事項を知らなかったので、この本はとてもよかった。最終章のテクニカル分析はとってつけたような章だったけど、巷の安い本のテクニカル分析よりちゃんと書かれててよかった。

服部、『日本国債入門』、金融財政事情研究会

2/28読み始め、3/6読了。研究者が書いた一般向けではない経済学の専門書を初めて読んだ。国債に関する本や類書を読んだことがないので、この本が他の本と比べていいか悪いのかの判断はできないけど、個人的には読みやすくていい本だと思った。しかし、レベルが高いので、「債券価格が下がると金利が上がる」の意味が分かっていない人には難しいと思う。よかった点をまとめると、
  • 引用がきちんとしている。
  • 後で詳しく説明する内容であれば、文中にそのようにコメントがある。
  • 業界用語について言及してある。
  • 意見と事実を混同していない。著者の意見を書いている箇所では、そうであると分かるようにはっきりと書かれている。
逆に気になった点をまとめると、
  • 「が、」で文を繋いでいる箇所が多い。節の第一文にほぼ必ず「○○節で××だと説明しましたが、」のような前置きが現れている。
  • 参考文献で頻出している「ファイナンス」が雑誌なのか論文なのか分からなかった。
  • 「日本国債」の入門書であって、「国債」の入門書ではないので、国債の一般論について知りたい場合この本は適切ではない。
  • LaTeXで書かれていいないため数式が汚い。