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これまで読んだり、気になったSGCライブラリをまとめていきます。新しい→古い順で並べていきます。最後に読んだのがだいぶ前なので、感想はかなり雑です。
SGCライブラリは雑誌なのですぐ品切れになります。そのため品切れになってそうな古いもののamazonリンクは省略します。amazonでSGCライブラリと検索したり、タイトルを入れると見つかります。

141-160


中山、『高次元共形場理論への招待 3次元臨界Ising模型を解く』、153

本貰ったので利害関係者。
高次元共形場理論は、AdS/CFT対応や共形ブートストラップ以降流行り始めている。日本語の書籍に限ると、この本が唯一の書籍になる。英語のレビューはいろいろとあるが、それらのレビューと比較して、この本は最も初歩から解説しているので、場の量子論を勉強した人であればそこまで苦労することなく読めると思う。
品切れになる前に買うべき神本。

101-120


福間・酒谷、『重力とエントロピー 重力の熱力学的性質を理解するために』、112

Amazonに素晴らしいレビューがあったので、転載します。他人の本に対して、著者が全部の計算を行った(まえがきにそのような情報もない)とか、論文にすることができたら食うに困らないとか、絶賛するとはさすがのレビュアーです!
誤解に基づいたおかしなレビューがあるので投稿します。
この本の数学的内容は、これに近い分野専攻であれば、物理専攻であっても当然のように使いこなすことが要求されるレベルのものです。
この本にいたるところに教育的配慮が注意深く施されているのは一見して明らかです。全ての数式を行間を埋めてきちんと追えば相当な実力を養成できます。著者が全ての計算を自分で行って深い経験の上に(初学者にわかりやすいよう心を砕いて、初等的に)書かれた本であることは明らかです。学部4年または修士1年でこれを読みこなせれば自信を持っていいものと思われます。(ここに書かれているどの一ページでも、自分で発想して一から作り上げ論文にすることができるならばこの分野で食うには困らないほどのものであることは常に意識している必要があります。)
この分野に興味のある全ての学生に推薦します。この別冊数理科学のシリーズは、玉石混交ながらも実に有用な本が多く、日本が世界に誇っていいモノグラフシリーズであると思いますが、その中でもこの本は相当に優れた一冊であることは明らかです。

高柳、『ホログラフィー原理と量子エンタングルメント』、106

原稿を読んで誤植を指摘して、その後本貰ったので利害関係者。
近年、素粒子論や物性物理でかなり注目を集めているエンタングルメントエントロピーの、第一人者による本格的な教科書。前提知識として、場の量子論・一般相対論・AdS/CFT対応が必要なため、かなり難しいと思う。一応、本書の中で適宜説明はあるが、それで理解するのは無理だと思う。とても難しい代わりに、エンタングルメントエントロピーの最新の話題についても詳しい説明があり、とてもためになる。

土屋、『弦理論と行列模型 弦理論の非摂動的定式化と新しい時空と物質の捉え方』、104

行列模型の基礎ぐらいは知っておいたほうがいいのでは、と思い読み始めてみた。前提知識として、場の理論の基礎以外に格子ゲージ理論、ラージNゲージ理論、弦理論などなど様々な分野が要求されている。
行列模型だけど、特にIKKT行列模型の説明を目的としてるので、行列模型一般を知りたい場合別の文献の方がいいのかもしれない。

佐藤、『量子力学ノート 数理と量子技術』、102

一度、量子力学を勉強した向けに書かれた本。少なくとも初心者向けの本ではないことは確実なんだけど、玄人向けかって言われると、そうでもないと思う。今一度量子力学を見つめなおすといっているが、分かりやすく書かれてもいないので、他の本を読んだ方がいいはず。量子情報のところも簡潔に結果のみというようにしか見えない。
あとがきに講義ノートをもとにして書いた、と書かれてて、最後まで読んでやっぱりかと思った。わざわざ読む本ではない。

北、『統計力学から理解する超伝導理論』、101

以前に、de Gennesの超伝導の本読んで、あんまり分からなかったから、改めて勉強してみようと思って読んだ。
丁寧に読んだわけではないんだけど、やっぱりこのシリーズって、ある程度基礎知識がないと途中からついていけなくなるんだよね。統計力学や量子力学のところはだいたい分かるんだけど、第二量子化あたりから詰まってしまって、徐々に分からなくなってった。いい本かどうかは分からないけど、内容は理解できなかったので、改めて別の本で超伝導を勉強して、時間があれば再度読み直してみよう。

81-100


国広、『クォーク・ハドロン物理学入門 真空の南部理論を基礎として』、100

南部さんのノーベル賞を記念して、書かれたレビューを加筆して本にしたもの(らしい)。NJL模型が詳しく書かれていたので、前に原論文読んで分わからなかったところが少しすっきりした。

坂本、『量子力学から超対称性へ』、96

量子力学から解説して、最後に場の理論の超対称性まで解説する、ってタイトルから思われるかもしれないが、内容は超対称量子力学。教科書のような量子力学の本にはあんまり書かれていない話だけど、院試ではちょくちょく扱われている。日本語として扱っている本やレビューもないので、いい本だと思う。

夏梅、『超弦理論の応用』、93

夏梅さんがこれまで行った集中講義をもとにして書いた本。英語版はarXivにあるので無料で読める。超弦理論の応用というタイトルだが、内容はAdS/CFT対応の応用。QCDとか流体とか物性系とか。AdS/CFT対応の基本的なことついてはあまり詳しく書かれていないので、この本だけだと深くは理解できないと思う。雰囲気をつかむ本かな。
(追記)GKPW関係式を調べるために、この本を見てみたら、意外としっかり書いてあって驚いた。意外と悪くない。

石橋・村上、『弦の場の理論』、92

途中まで読んだけどめちゃくちゃ難しかった。弦理論を知ってる前提の本なので、読める人は限られると思う。

白水、『アインシュタイン方程式 一般相対性理論のよりよい理解のために』、90

M2のときに読んだ。誤植を見つけてやるぞっていう精神できちんと計算したのでいっぱい誤植見つけて、訂正リストに名前が載るくらいには頑張った。

伊藤、『共形場理論 現代数理物理の基礎として』、83

電子ブックであれば入手できるけど、紙版はすでに入手不可。
個人的には日本語で書かれた2次元共形場理論の中で一番読みやすい本だと思ってる。そこで、当時M1だった後輩におススメしてみたんだけど、難しいとのことでちょっと不評だった。一回、別の本で勉強した後に読むと、知識が整理されていいのかもしれない。

谷井、『超重力理論 超弦理論における役割』、82

退屈な本だった。これで勉強するというより、ただいろいろな結果がまとめられているという感じだった。誤植は全くと言っていいほどないのは凄い。

61-80


今村、『超弦理論の基礎 弦とブレーンの導入から』、80

10年近く前に読んだので詳細覚えてない。記法というか場の規格化が他の標準的な教科書と違った点が気になった気がするけど、それ以外はめちゃくちゃ読みやすかった気がする。

鈴木、『超弦理論を学ぶための場の量子論』、76

タイトル的にはすごく面白そうだが、扱ってる内容がよくある場の量子論の本と大差ないので、「超弦理論を学ぶための」というタイトルにしては微妙な本。さらに、サイエンス社のホームページにある誤植リストは80ページ近くあるように、誤植が極めて多いのもよくない。

細谷、『量子コンピュータの基礎 [第2版]』、69

1999年に出版された同書の第1版を改訂したもの。量子コンピュータを実際に作ろうという工学的な志向の本ではなく、量子コンピュータの原理や仕組みといった理学的な内容を扱っている本。
著書が素粒子論を専門としていた人なので、読みやすいかなと期待していたけど、分かりにくかった。未定義であったり、説明不足なところが多かったりと、他の本や論文で補う必要が多い印象がある。やはり、量子情報や量子コンピュータを勉強するなら、Neilsen & Olsenの本を読みましょうということだな。

根本、『量子力学の考え方 物理で読み解く量子情報の基礎』、68

量子力学の基礎的な本ではなく、量子情報の本。量子力学の基礎については十分説明しておらず、微妙な本だった。量子情報なら他にいい本あるから、そっち読んだ方がいいと思う。

41-60


木田、『数理・情報系のための整数論講義』、58

途中まで読んで、読むのやめてしまった。そんなにわかりやすいわけでもなかった。

早川、『非平衡統計力学』、54

一通り読んでみたけど、丁寧に読んでないのと自分の理解を超えていたから、いい本かどうかわからない。とりあえず、在庫ないみたいだね。

21-40


萩谷、『分子コンピュータの現状と展望』、31

2002年に北海道でDNA8という国際会議が開催されたことと大型科研費を取ったことで、分子コンピュータという分野が盛り上がってるので、特集を組んだらしい。

白石、『量子可積分系入門』、28

可積分系を勉強しようとしていたところ、ある人に薦められた本。その人いわくすごいいい本らしい。

1-20


中野、『生命をつくる 生命現象の情報論的研究』、9

分野外だけど、いろいろな分野の本を読んで知識を広げようと思って、とりあえず手元にあった本を読んでみた。著者が雑誌のために書いた記事をまとめた本。内容は著書たちの研究の紹介。
タイトルの「生命をつくる」というよりかは、「生命が持っているだろう性質(例えば、細胞分裂やら進化とか)を機械やプログラミングで再現する」っていうことをやっている。正直にいって、こんな研究でいいの?って思った。物理でいうと、ある現象を説明するために模型を作って、その現象を説明する+別の物理を予言・説明できてうまい(正しい)模型ができた、っていうと思うんだけど、この著者たちのやってることって、現象を説明するための簡単なトイ模型を作って終わってるよねって気がした。あんまりおもしろい本ではなかったな。
あと、TeXを使ってないらしく、数式関連がしょぼかった。図の回り込みも悪く、図の位置が悪い気がした。TeX >> 超えられない壁 >> Word

三浦、『デリバティブの数理 ブラック・ショールズ式 金融工学・統計的データ分析』、6

金融工学の勉強をしたかったので、SGCライブラリの関係する本を読んでみた。著者がとある雑誌の連載のために書いた記事をまとめて加筆したものらしい。シュリーヴを読んで思うのは、決して初学者向きの本ではなかったということ。