2021年9月の気になった論文
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9月にarXivに投稿された論文で気になったものをまとめた。
2109.00079
Structure of Holographic BCFT Correlators from Geodesics
by Jani Kastikainen, Sanjit Shashi
概略:
AdS/BCFT関連論文だったのでざっと眺めてみた。AdS/CFTで相関関数を計算する手法として、geodesicで近似する手法が知られている。この論文では、その手法をAdS/BCFT模型に適用し、一点関数と二点関数を計算したらしい。
2109.00372
Subregion Spectrum Form Factor via Pseudo Entropy
by Kanato Goto, Masahiro Nozaki, Kotaro Tamaoka
概略:
PRL投稿用っぽい感じがしたので、ざっと眺めてみた程度。vacuum stateとそのクエンチ状態のpesudo entropyと呼ばれる量を考察した論文。特に、spectral form factorの時間依存性を見ているみたい。
2109.01145
Monopoles Entangle Fermions
by Csaba Csáki, Yuri Shirman, Ofri Telem, John Terning
概略:
spinor-helicity formalismを用いて、monopoleパズルを解いた論文。monopoleパズルとは、フレーバーを持ったフェルミオンとモノポールの散乱を考えたときに、終状態が存在しない(つまり散乱が起きない)という問題である。この論文では、pairwise spinorを使って、解くことができましたということを主張してるけど、なかなか難しい。
2109.02701
Application of Bootstrap to θ-term
by Yu Aikawa, Takeshi Morita, Kota Yoshimura
概略:
最近開発された量子力学の系に対するブートストラップ法をtheta項のある模型に対して適用した論文。解析的な結果と比較すると、ブートストラップ法ではあまりうまくいかなかったように見えるけど、自分の読み違いだろうか?
2109.02725
From dS to AdS and back
by Charlotte Sleight, Massimo Taronna
概略:
dS時空上の場の理論におけるlate time correlatorに関する論文。著者たちの先行研究のextended versionらしいが、あまり新規性を見つけられなかった。実質レビューのような論文だった。
2109.02996
Mutual information, islands in black holes and the Page curve
by Ashis Saha, Sunandan Gangopadhyay, Jyoti Prasad Saha
概略:
ページ数的にPRL投稿用だと思われるisland関連論文。BTZ black hole時空において、islandの領域とHawking radiationの領域(ブラックホールの外側)のmutual informationを計算しているみたい。
2109.06251
Bootstrapping More QM Systems
by David Berenstein, George Hulsey
概略:
量子力学ブートストラップ論文。イントロダクションと結論部分をざっと眺めた程度。double well potentialの場合と周期的な空間上の粒子の場合の二つの状況を考えている。前者では、ブートストラップの方法がうまくいくことを言っているが、後者の場合、うまくいっていないようなことを指摘しているように見えた。
2109.06883
General Bounds on Holographic Complexity
by Netta Engelhardt, Åsmund Folkestad
概略:
CV complexityに関して、4次元AdSの場合にできるだけ一般的な状況で成り立つ不等式を示した論文。一つ目はasymptotic AdS時空のCV complexityはpure AdS時空のCV complexityで下から抑えられるというもの。二つ目はLoyd boundに関するもので、CV complexityの時間微分はブラックホールの質量(の定数倍)で上から抑えられるというもの。
2109.08033
Comment on the Bootstrap Method in Harmonic Oscillator
by Yu Aikawa, Takeshi Morita, Kota Yoshimura
概略:
量子力学のbootstrap論文。調和振動子の系で演算子を生成・消滅演算子を基底に選ぶことでなぜbootstrapがうまくいくかを簡潔に説明している。さらに、演算子の選び方によってbootstrapがうまくいく場合とうまくいかない場合があることも指摘している。
2109.11207
Callan-Rubakov Effect and Higher Charge Monopoles
by T. Daniel Brennan
概略:
monopole puzzleを解いたっぽい論文の一つ。最近出てた他の論文とは主張が異なってるように見える。やっていることは、モノポールの有効理論を考えて、それを積分することで、s波近似したときの境界条件を導出したらしい。
2109.13261
Towards Bootstrapping RG flows: Sine-Gordon in AdS
by António Antunes, Miguel S. Costa, João Penedones, Aaditya Salgarkar, Balt C. van Rees
概略:
CFTを解析するためにAdS時空上に理論を置いて、flat space limitを取る論文。この論文では2次元スカラー場を考えて、RG flowを起こし、sine Gordon模型を解析しているらしい。
2109.14782
Semiclassical analysis of axion-assisted and axion-driven pair production
by Hiroyuki Kitamoto, Masaki Yamada
概略:
アクシオンがあるときのSchwinger効果に関する論文。ミーティングで話題に上がったので、ざっと目を通してみた。別の方法でもっと簡単にできそうな気がするので、ちょっと考えてみようと思った。
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