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論文を書いた経緯のまとめ

立川さんにならって自分が論文を書いた経緯をまとめる。その立川さんも他の人にならってるけど。

2208.01052

Monopole-fermion scattering and varying Fock space
with Y. Hamada and T. Kitahara

いわゆるギフト論文。ポスドクになって初めて自分のアイディアでない論文。自分のアイディアで論文書いてない人はこういう楽なことできてるんだなぁって思った。
spinor-helicity formalismをモノポールを含む場合に拡張した論文があって、その中にIR発散についてのコメントあって、IR発散関連の論文を眺めていた。それをTwitterで呟いてたら、立川さんから「なんでIR発散気にしてるの?」って反応あって、読んでる論文について話したら、モノポール散乱におけるmissing problemについて教えて貰った。それを色んな人と議論してたところ、濱田くんがアイディア出してくれたので、一緒になって書いた論文。

2108.04637

Complexity in a moving mirror model

アイランド公式という流行りに乗った論文。アイランド初期からcomplexityやれば論文は書けるとは分かってたんだけど、それを計算してどうすんの?って思ってたので、何もやってなかったんだけど、moving mirror modelだと具体的に計算できそうだったので、やってみた。やってみた結果、あまりにも微妙だったけど、せっかくやったので論文書いた。

2102.11468

Free energy and defect C-theorem in free fermion

2101.02399を書いてるときにフェルミオンの場合もやっておく方がよさそうってことで、最初はappendixに載せるためにまとめてたんだけど、スカラー場だけで分量が多くなってしまったので、フェルミオンだけ独立して論文書いた。

2101.02399

Free energy and defect C-theorem in free scalar theory
with T. Nishioka

自分史上一番頑張った論文。1810.06995を出した後に具体例として自由スカラー場の場合にチェックできるんじゃないかっていう雑談から始まった論文。なかなか結果出なくて、2年くらい時間かかった。

2004.04929

Boundary entropy under ambient RG flow in the AdS/BCFT model

1810.06995を書いたときや研究会での質問で、bulk RGフローでエンタングルメント・エントロピーの境界からの寄与は単調減少しないって言ってたけど、高次元の場合やホログラフィーでもそうなのか気になったので、調べた論文。ゲージ側の計算と重力側の計算の係数を合わせるのに大変だった。

1908.11094

Does Boundary Distinguish Complexities?
with K. Watanabe

ポスドク公募の面接で、Chapmanたちの論文が話題に上がったので、時間があるときに読んで、これ主張強すぎない?って思ったので、path-integral optimizationという手法使ってcomplexity計算した論文。AdS/BCFT模型のCA complexityの計算でミスしまくって、arXivのv2の段階で他の人の指摘でやっと正しくできた。
タイトルをもう少し無難なものにするのと、subregionも一応計算してれば、もう少し引用件数増えたのかも。subregionだけは自明だし、論文の主張に関係ないからいいかなって思ったんだ。。。

1810.06995

Towards a C-theorem in defect CFT
with N. Kobayashi, T. Nishioka and K. Watanabe

アメリカ辛いなってことでシアトルから帰国したので、西岡研が4人になった。論文に繋がるような文献紹介しようってことで、シアトルにいる間に西岡さんのレビューとCasiniたちのa-定理の証明論文を読んでいたので、Casiniたちのg-定理の証明論文を紹介して、これを高次元に拡張して、DCFTでC-定理の証明をしましょうって提案したことから始まった研究。証明は結局できなかったけど、エンタングルメント・エントロピーがDCFTの場合でもC関数ってのは間違いで自由エネルギーがC関数ってのを指摘して、それらの関係を明らかにした。
DCFTというマイナーテーマだけど、自分の論文の中で一番引用された。

1805.10427

Conformal Manifolds with Boundaries or Defects
with A. Karch

arXivでconformal manifoldの論文が何個か出てて、これを境界付きでやると面白いかもってことでやり始めた。
どうやらこの論文のconformal blockの境界条件が間違ってるらしくて(論文自体の結論は変わらないけど)、今のところ2本の論文によって指摘されてしまった。いや、なぜかこの論文書くまで、誰もbulk-boundary-boundaryの3点関数のconformal block展開やってなかったからなんだけど。
geodesic Witten diagramの論文より引用されたのは予想外だった。

1711.02138

More on Boundary Holographic Witten Diagrams

1708.01328の一般化。1708.01328では、共形次元の同じ演算子の2点関数考えてたんだけど、BCFTの場合は、共形次元が違ってもよいので、そのような状況を考えた。1708.01328の投稿時には結果あったので、原稿書くのに時間かかった。

1708.01328

Boundary Holographic Witten Diagrams
with A. Karch

ポスドクになって初めての論文。アイディアなくて、なかなか論文書けなかった😢
本郷でポスドク1年目のときに、エンタングルメント・エントロピーの計算で導入されるtwist operatorは実はdefectだから、BCFTやDCFTは調べる価値あるってのが片隅にあって、そのとき流行ってたHolographic Witten diagramはどうなるんだろう?ってAndreasに質問しに行って始まった研究。確か金曜日に質問に行って、翌週の月曜日にスクープされてしまった。。。(スクープ3回目)
その論文は、いわゆるEnd-of-the-world braneによって作られるBCFTしか考えていなかったので、一応やれることは残ってた。共同研究者がとりあえず、ノート書いて送るわって言ってたので、待ってたら2週間くらいで完成版っぽい論文の原稿が送られてきて、具体的な模型での計算やっといてって感じで「あれ?これ左手を添えるだけでは?」ってなって、その原稿の理解に時間がかかってしまった。一か所うまくいってなかったところがあったんだけど、ある日曜日に閃いて、翌日の月曜日午前に興奮して伝えに行ったの覚えてる。
引用数10いってないけど、もっと引用されてもいいと思ってる。

1504.00459

A holographic description of the Schwinger effect in a confining gauge theory
with D. Kawai and K. Yoshida

PRL投稿用論文だった1312.4341をarXivに出した後に、招待されたレビュー論文。原稿の第0版を自分ひとりで書いたんだけど、面倒であまりやる気になれなかったので、1年以上かかってしまった。もっと早く書いていれば、もう少し引用数増えたかも。

1501.04903

Comments on Entanglement Entropy in the dS/CFT Correspondence

「君にこの研究をする権利があると思われては困る」から数年経った。ホログラフィック・エンタングルメント・エントロピーは時空創発(AdS時空の動径方向をゲージ理論の量と結びつけられること)と関係してるってので、じゃあ、dS/CFT対応でもそういうことできるんじゃね?って思ってずっとやってた。微妙な結果だなぁ、と放置していたところ、スクープされてしまったので、頑張って一週間で書いた単著論文。論文書いてるときや雑誌に通すときに高柳さんにお世話になった。JHEPに投稿したら、4日くらいでリジェクトされた思い出...

1312.4341

Schwinger pair production rate in confining theories via holography
with D. Kawai and K. Yoshida

閉じ込め相の場合でも数値計算すれば生成率計算できるっていう自分のアイディアに基づいた論文。数値計算得意なM1がいたので、めちゃくちゃ早く論文になった。初めてPRL投稿したけど、general interestが足りないってことで、最終的にPRD rapid communicationになった。

1309.4629

Universal aspects of holographic Schwinger effect in general backgrounds
with K. Yoshida

1306.5512のために勉強していたときに、AdS/CFT対応におけるクォーク・反クォークポテンシャルの性質をまとめたレビューがあって、それに閉じ込め相になるときの十分条件が書かれていた。そこで扱われている条件を用いて、ホログラフィックSchwinger効果の一般論を展開した論文。

1306.5512

Holographic Schwinger effect in confining phase
with K. Yoshida

1304.7917で生成率計算するんじゃなくて、ポテンシャル計算するだけでホログラフィックSchwinger効果の定性的振る舞いなら分かるってことが判明したので、ゲージ理論側の性質を変えてみようってことで閉じ込め相のゲージ理論におけるSchwinger効果をホログラフィックに考えた論文。重力側の計算では、漸近的AdS時空解をいろいろ変えればいいだけなので、結構引用された。

1304.7917

Potential Analysis in Holographic Schwinger Effect
with K. Yoshida

修論や修論発表のときに原子核の人から、クォーク・反クォークポテンシャルは重要ってのを教えてもらったことから始まった研究。ホログラフィックSchwinger効果の論文に、生成率から得られる臨界電場とポテンシャルから見積れる臨界電場にズレが生じてるって指摘があって、それを解決した論文。

1303.0112

Holographic description of the Schwinger effect in electric and magnetic fields
with K. Yoshida

学振DC1でdS/CFT対応について書いていたら、その書類の面倒を見て貰ってた教員に「君にこの研究をする権利があると思われては困る」と言われたので、この人と研究するのは危ないと思ってたところ、ホログラフィー関連で同室だった助教の吉田さんにネタを振って貰った。最初は電場の代わりに磁場を入れた場合にどうなるかをやろうとしてて、結局うまくいかなさそうってところで、被ってる論文が出てしまった(その論文もこっちのやりたい問題を解決していなかった)。ということで、結局、弦理論で知られている古典解を取ってきて、それを今のセットアップで解釈するとどういう状況になってるかってことで論文書いた。論文を理解するのに時間かかってしまったので、約1年くらいかかった。