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10月にarXivに投稿された論文で気になったものをまとめた。

徐々に更新していきます。

2110.01635 

Scalar two-point functions at the late-time boundary of de Sitter
by Gizem Sengor, Constantinos Skordis

概略:
de Sitter時空上の場の理論関連の論文。最近流行り始めた感もあり、興味あるテーマなので、ざっと眺めてみた。質量が軽い場合と重い場合で分けて、2点関数を計算している。EAdSの解析接続として計算する手法は知られているけど、この論文では、EAdSの結果を使わずに別の方法で求めている。たぶん、その計算が新しいように見える(けど、結果自体は新しくないような気がするので、新規性がどこにあるのかあまりよく分からない。)。
 

2110.03197 

Holography in de Sitter Space via Chern-Simons Gauge Theory
by Yasuaki Hikida, Tatsuma Nishioka, Tadashi Takayanagi, Yusuke Taki

概略:
PRL投稿用論文。Chern-Simons型の3次元重力理論をdS/CFT対応を動機に調べた論文。dS時空は解析接続をすると、球面にマップできるので、主に球面上で解析してた。dS時空上での解析はあとで論文を出すみたい。
 

2110.04268 

Fermions in AdS and Gross-Neveu BCFT
by Simone Giombi, Elizabeth Helfenberger, Himanshu Khanchandani

概略:
自分の論文が引用されていたので、section 1のIntroduction and summaryを読んだ。2007.04955で、境界のあるスカラー場の場合に相互作用の入った模型、Gross-Neveu模型、を解析するためにAdS時空上に置き、境界条件を分類し、それらの繰り込み群フローを考え、自由エネルギーの単調性を確認していた。この論文では、フェルミオン場を考え、スカラー場の場合と同じような結果が得られることを明らかにしている。
 

2110.05470 

Failure of the split property in gravity and the information paradox
by Suvrat Raju

概略:
論文ではなく、レビュー。場の理論におけるエンタングルメント・エントロピーの定義では、領域を二つに分けることで、その系のヒルベルト空間が分解できることを仮定している。しかし、重力のある系では、この仮定は正しくないことをこの論文は指摘し、それまでの先行研究における微妙な点をまとめている。後半では、著者の論文に基づいて、AdS時空に熱浴を結合させた系において、gravitonがmassiveになることなどをまとめている。ページ数が短いので読みやすかった。
 

2110.05522 

Holographic Complexity and de Sitter Space
by Shira Chapman, Damián A. Galante, Eric David Kramer

概略:
2次元AdSの内側に2次元dS時空を入れることで、通常のAdS/CFTの範囲内でdS時空のcosmological horizonを調べましょうというような論文。この論文では、そのための道具としてCV公式を用いたcomplexity (2次元なのでlengthになっている)を用いている。
 

2110.07598 

The universality of islands outside the horizon
by Song He, Yuan Sun, Long Zhao, Yu-Xuan Zhang

概略:
Island関連論文。漸近平坦な時空と漸近AdSに熱浴を張り合わせた時空上のIsland公式を調べ、matterの中心電荷とNewton定数の積の大きさによって、extremal surfaceが存在するかどうかとかを調べた論文。
 

2110.11947 

Replica Wormholes and Holographic Entanglement Negativity
by Xi Dong, Sean McBride, Wayne W. Weng

概略:
entanglement negativityに対するIsland公式についての論文。他の論文と違い、レプリカ対称性が破れてる場合も考えている。
 

2110.12504 

Regulating Loops in dS
by Akhil Premkumar

概略:
。Mellin-Barnes representationを用いて、dS時空上のスカラー場の4点関数の1-loop補正を計算した論文。
 

2110.13210 

The central dogma and cosmological horizons
by Edgar Shaghoulian

概略:
Cosmologicalホライズンに対して、centaral dogma (ブラックホールは外部の人から見ると、ある自由度を持つ量子系とみなせるという提案)が成り立つかどうか議論している論文。やはりdS時空は難しく、これは正解とはあんまり思えなかった。
 

2110.14672 

Quantum Computational Complexity -- From Quantum Information to Black Holes and Back
by Shira Chapman, Giuseppe Policastro

概略:
Complexityに関するレビュー。hep-thにおける量子情報関連のレビュー記事のうちの一つらしい。歴史とは逆にホログラフィックな提案の方を最後に持ってきているため、専門外の人にも系統的に理解できるように書かれてる印象あった。