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はじめに

はじめてのぽすどくという記事を素粒子論研究で掲載しましたが、ブログの方が更新しやすいので、ブログ版も作ってみました。こちらの記事では国内のポスドクのみ(海外学振も含む)を扱い、通常の海外ポスドクは別の記事で扱うことにします。

謝辞

杉本さん、浜口さん、立川さん、大森君、千草氏、有益なコメント・誤植の指摘等ありがとうございます。

 

ポスドクに応募する

国内の公募は学振PD、基礎特、科研費による雇用などがあり、主に Sg-l で知ることができます。他にも日本の私大のポスドク公募が JREC-IN にあったりします。


日本のポスドク公募(主に学振と理研の基礎特)についてまとめておきます。学振のルールは毎年少しずつ変わっているので、ここに書かれていることはすでに古いかもしれません。

海外学振

 

海外学振の応募は現在所属している大学・研究機関から申請します(確か。海外にいる場合はどうするか調べていません。)。まず、行きたい大学・研究所に海外学振で行ってもいいか問い合わせます。いままで海外学振を受け入れたことのない人の場合、きちんと海外学振について説明しておく方がいいと思います。また、海外学振の給料はアメリカ基準では高くなく、アメリカの最低賃金(州による)を下回っているため、そもそも受け入れられないということもあるそうです(国内学振でアメリカに行く場合だったかもしれません)。例えば、海外学振の給料は CERN の内部規定で決まっている最低賃金より低く、CERN に海外学振で行くことはできません。

書類は学振の DC1, DC2 とだいたい同じです。それに加えて、海外で研究することの意義について 1 ページ書く必要があります。推薦書は現在の指導教官の一通のみです。海外の受入教授にしてもらうことは、学振から送られるメールのリンクから受入の確認をするだけのようです。

海外学振の書類を書いておくと、国内学振でも使いまわせるため、今後少しだけ楽になります。海外学振には、日本への帰国が制限される(例えば、研究会参加を除き給料が出ない。)など、いろいろルールがあるので確認しておきましょう。
 

学振PD

 

学振 PD もDC1, DC2とだいたい同じ書類です。研究計画等について、DC1, DC2 と比べて 1 ページほど長く書く必要があります。海外学振より少し長いです。また、受入研究機関を選んだ理由を書く必要があります。学振 PD の推薦書は、現在の指導教官と受入教官の二人に書いてもらうことになります。できれば、事前に研究会等で会って、いろいろ話をして好印象を与えておきましょう。

2016 年から受入研究機関として、卒業した大学院やポスドクとして所属した研究機関を原則選べなくなりました。(理由があれば選んでもいいそうですが、それが審査に不利にならないと明記されていないのでもしかしたら不利になるのかも?)例えば、京大理学部から基研、東大本郷から IPMU、駒場、宇宙線研に行くというのはできなくなりました。

学振 PD では最大 2 年間まで海外に行くことができます(確か研究会参加などの短期滞在も含めて)。所属する研究機関にもよると思いますが、科研費で購入し、備品となったノート PC も学振 PD である限り、海外に持ち出せると思います。また、科研費も滞在費用として使うこともできます。ビザの申請費用や保険料も科研費から出せるというのを聞いたこともありますが、航空券代と滞在費で使う方が面倒がなくていいと思います。年度や所属機関によって異なることもあると思うので、杉本さんの例も残しておきます。

学振の特別研究員の身分で海外に行く場合、科研費がどこまで使えるかが気になるところです。科研費の使用要領にはいろいろ書いてありますが、その解釈は各研究機関の会計係ごとに随分異なるので注意が必要です。会計係の人と連絡を密にして、仲良くなりましょう。知らないで損したのが、パスポート交付手数料やビザの手数料などが科研費から出せるということです。予防注射や入国税とかも出せるらしいです。これらは使用要領を良く読むとちゃんと書いてあります。今年の基研の場合ですが、海外に行く時の旅費は、交渉の末、科研費から出すことができました。一方、海外への荷物の発送費用は出せませんでした。

科研費の海外での使用は、使用要領によると、海外の研究機関で研究に従事する期間が当該年度で 10 ヶ月以内なら OK だということになっていますが、事務手続きがややこしくなるので会計に断られる場合があります。また、その年度で 10 ヶ月を超えて海外にいる場合は科研費を辞退することになるみたいです。ただし、この 10 ヶ月というのが、海外に滞在する期間のトータルではなく、当該年度で海外に滞在する期間であるというところを勘違いしないようにしましょう。

また、科研費で買ったノートパソコン等の備品を海外に持ち出せるかどうかというのも大きな問題でしょう。科研費の使用要領を見ると、事務に申し出れば、5 万円以上の設備備品の当該研究機関への寄付を特別研究員の資格を失うまで延期することができると書いてあるので、そうすれば問題無いはずだと思われます。基研では、手続きをすれば備品のノートパソコンを自宅で使用することが認められているので、僕はその手続きをしてアメリカに持ってきました。ただし、特別研究員でなくなったら返さなければいけません。


なお、学振 PD は日本学術振興会と雇用関係にないので、「なぜか給料をもらっている無職」という身分です。保険料や年金を自分で支払わないといけない、子供を保育所に預けることができない(?)、といったデメリットがあります。
 

理研基礎科学特別研究員

 

理研の基礎科学特別研究員(基礎特)は4月の中旬に締切があり、学振と比べて少し早いです。
素粒子論に関係する(といってもεぐらい)研究室は、初田研、肥山研、長瀧研と iTHEMS です。応募するには、まず個別に受け入れ可能か聞きます。そうすると、「ok です。」と返事が返ってきます。7 月くらいにメールで書類審査の結果が伝えられ、通っていれば面接となります。面接の形式は

場所: 理化学研究所 和光事業所もしくは、オンラインにて開催
※和光事業所にて面接を実施する場合:
海外から来日する受験者の旅費については、下記の通り定額を支給しますので、領収書、旅程表、往路の半券、振込先銀行口座の情報をご持参ください。下記以外にかかる費用については個人負担とします。実費が設定額を下回った場合は、実費を支給することとします。また、理研以外の用務に関する旅費等については支給できません。
中国、韓国、台湾から来日する場合: -3万円
その他アジア地域から来日する場合: -5万円
上記以外の国から来日する場合: -7万円
となります。

 

基礎特は給料面や社会保障など学振 PD と比べると、すごくいいです。iTHEMS だと研究費も潤沢だそうです。ただ、橋本さんが阪大に移って以降、素粒子論の人がかなり減っており、行ったとしても議論できる人がどれだけいるかよく分かりません。理研や iTHEMS の支部(京大や海外にもあるらしい)に行くこともできるらしいので、議論や共同研究ができそうな支部があるか調べてみるといい気がします。

 

最後に

アマゾンをクリックして、モノを買ってくれるとアフィ収入が入るので、ちょっとこのつらい状況の改善になります。。。