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読んでいる本と読み終わった本の両方をまとめていきます!小説などはネタバレを含まないように感想書きます。『medium 霊媒探偵城塚翡翠』と『イニシエーション・ラブ』についての感想でネタバレに近いものを含みます。

読んでいる本


秋葉・岩田・北川、『プログラミングコンテストチャレンジブック 第2版 問題解決のアルゴリズム活用力とコーディングテクニックを鍛える』、マイナビ

2024/11/15読み始め。

竹内、『新装改訂版 現代数理統計学』、学術図書出版社

2024/12/6読み始め。

へイギー、『サム・アルトマン 「生成AI」で世界を手にした起業家の野望』、ニューズピックス

12/22読み始め。かなり期待外れの本だった。この本を読む前はOpenAIの創業者という情報しか知らなったので、創業に至る経緯やGPTの開発などアルトマンに関することが何か知れたらいいなという思いで読み始めてみた。
原書の注はpdfにしてあり、QRコードを読み込んで確認できるようになっていた。それにもかかわらず、典型的な洋書なので480ページとかなり分厚い。480ページとかなり分厚いけど
  • アルトマンの両親に関する記述だけで50ページも割かれている。かなりページを割かれている割に、アルトマンがどのような影響を受けたかほとんど書かれてない。
  • 130ページを使って、幼少期から大学生までとLoopt(ループト)というサービスで起業をしたエピソードが紹介されている。アルトマンだけのエピソードに限っていればいいけど、ベンチャーキャピタルの人についてのエピソードや同時期のベンチャーの紹介に話が飛ぶことが多く、分かりにくい構成だった。OpenAIやAIに興味ある人だと蛇足に感じそう。
  • 次の90ページは、Looptを終了した後、Yコンビナータの社長となり、エンジェル投資家としてスタートアップに支援するようになったことから始まり、OpenAI創業まで書かれていた。この90ページは特に脱線が多く、Yコンビナータ関係者、汎用人工知能(AGI)について懸念していた哲学者、エンジニアのエピソードがかなり占めている。この部分の後半にならないと機械学習という単語すら出てこないので、機械学習の進展について何も記載ない状態で、哲学者がAGIについて懸念しているとかイーロン・マスクなども心配しているとか奇妙な章構成だった。
  • 12章からOpenAI創業の話だが、最初の30ページで脱線したと思える話ばかり。Yコンビナータの元社長がトランプを支持して献金したとか、EA信奉者の話とか。これを読みたくて、この本を開く人いるのかと思える内容ばかりで読んでいてキツい。
  • 13章からやっとGPTの開発の話。やっと面白くなってきたと思いきや、アルトマンが登場するのは4、5ページに一回の頻度。OpenAIの研究者がGPTの開発している様子を説明して長くなるのはいいが、妹の生活状況を生々しく書くのは理解できなかった。こんな感じでChatGPTのリリースまで80ページくらい続く。
という内容で、アルトマンについて知りたいのに、アルトマン以外のことがかなり書かれていた。アルトマンだけに限って書けば200ページで終わるのに、取材したことや少しでも関係しそうな話題を時系列順に並べて詰め込んだら480ページになって、そのまま分厚い本として出版した感じの本。たぶん、著者が反AI、もしくはAIの悪用に懸念を持っているせいで、AIの未来よりAIの懸念のほうが全面に押し出されているのも目に付く。例えば、GPT3のリリース前の2020年でどのような危険性があるかとか、画像生成のDALL-Eで画家の存在意義が脅かされるとかデメリットばかり議論されていて、メリットに語ることはほとんどない。
その他にもこの本で微妙だなって思ったことをまとめておきます。
  • Andrew Ngをアンドリュー・ングと訳している。日本語で書くなら、ングではなく「イン」と書く方がよいはず。他の本やニュースで「ング」っていう苗字の中国系の人は見たことないし、Youtubeで英語圏の発音を聞いていると「イン」の方が近い。
  • アルトマン以外の人物紹介にかなりのページ数が割かれている。ティールの私生活や1990年代にAGIの危険性を主張した哲学者、妹の堕落した私生活について知りたいわけじゃない。
  • 洋書あるあるの、やたらと詳しい容姿、服装。
  • ...

著者、『タイトル』、書店

12/28読み始め。

著者、『タイトル』、書店

12/28読み始め。

読んだ本


相沢、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、講談社

9/27読み始め、10/2読了。方舟のAmazon評価が4.4で、この本は4.5。さらに、ミステリランキング5冠、2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補という感じで凄い評価されているので、めちゃくちゃ期待高い感じで読み始めた。読んだ結果、自分としては高く見積もって評価3くらい。高評価されてる理由は、表紙の美少女である城塚翡翠が霊媒師として犯人を先に特定して、それを探偵役の主人公が論理を組み立てて警察に犯人を知らせるということを第一章から第三章までで印象付けているにもかかわらず、最終章ですべて伏線だったと判明すること。例えば、霊媒を用いて犯人を特定したように振舞っていたけど、実は超絶な推理で犯人を特定していて、主人公との関係を築くためにあえてそうしていたとか。
高評価である点は理解できるけど、最初から最後までラノベっぽい展開で読んでいてきつかったのが自分としてはかなりマイナスだった。最初から最後まで城塚翡翠がいかに美少女であるかがずっと強調されていて、やたらと「双眸」という単語が登場する。正直何度も何度も容姿を強調するための単語が出てきてうっとおしかった。
最終話で殺人鬼が追い込んでいるのに、殺人鬼がもたもたしていたのにはイラついた。殺される方も殺されそうになってるセリフじゃなくてそれにもイラついた。

おじま、『うまくいっている会社の非常識な儲け方』、すばる舎

10/4読み始め、10/5読了。読みたい本リストに入っていたので、読んでみた。具体例が豊富に載っていたので、分かりやすかった。カバーの「結局のところ、他社の成功事例をパクるのが一番役立ちます。」はそうだと思った。

Wang・Barabási、『サイエンス・オブ・サイエンス』、森北出版

10/3読み始め、10/8読了。サイエンス・オブ・サイエンスという科学的な研究活動を対象とした研究に関するサマリー的な本。研究者や研究者を目指している人なら楽しく読めると思うし、いくつかの章はぜひ読んで欲しいと思う内容だった。本の構成は、キャリアの科学、共同研究の科学、インパクトの科学、展望の4部構成になっている。まず、キャリアの科学では、科学者の生産性、h-indexなどの指標、マタイ効果、年齢と業績の関係などを扱っていて、昔から言われているFolkloreが正しいかどうかなどが吟味されている。次の共同研究の科学では、どのような共同研究がインパクトのある業績を出しやすいか、共同研究では、どのようにクレジットが割り振られると考えられているかなどが解説されていた。インパクトの科学では、引用数の分布がどうなっているかやメディア露出が引用にどのように影響を与えるかなど、業績のインパクトにまつわる話がいろいろまとめられていた。最後の展望では、AIが科学に与える影響と科学では失敗は報告されないので、そのバイアスによる影響について述べられていた。特に、ChatGPTの発表される前の2021年に原著が出版されているが、AIの進展に関しては、遠からずという予想が書かれていたので、驚いた。
読んでいて、面白いと思ったことを羅列すると
  • 1.1:典型的な科学者は2015年現在2.5本/年論文書いてる。20世紀は2.0本/年だったので、一人当たりの論文数は増えてるけど、共著論文の増加によるものなので、一人当たりの生産性は落ちてきている。
  • 1.2:毎年論文を1本以上書いてる研究者は1%未満だけど、その研究者たちが全論文の40%程度、引用数1000超える論文の85%程度占めてる。
  • 2.1:h-indexは時間と線型の関係にある。そのため、傾きによって研究者の生産性を測ることができる。h-indexが12程度あれば、テニュアになれるレベルらしい。18で教授昇格ライン。
  • 2.2:h-indexを使うと、将来の引用数や業績をある程度予測できるらしい。
  • 3.1:マタイ効果、つまり論文の著者の名前・所属が雑誌の採択に影響されるかどうかについて。結論はめちゃくちゃ影響される。
  • 3.2:有名研究者の論文は引用数に高いプレミアムがある。つまり、論文の内容にかかわらず一定の引用数があるらしい。物理の場合、シニアのプレミアムは40でジュニアのプレミアムは10らしい。ノーベル賞受賞などのイベントがあると、過去の論文も引用されるなどプレミアムが高まるらしい。
    撤回された論文にシニア、若手両方が含まれる場合、ペナルティの度合いが異なっていて、シニアは無傷で逃れることが多いが、若手の共著者は責任を負わされ、ときにはキャリアを絶たれることがある。
  • 4:66歳以上の研究者の割合は年々増加している一方、36歳以下の研究者は年々減少している。
  • 4.3:研究者のピーク。フィールズ賞の受賞条件に年齢制限があるように、いい研究ができるのは20代、30代だと思われている。けどそれは本当か? 20世紀初頭に比べると、ピークは8歳くらいずれてきているし、研究が直観によるものか演繹によるものかで変わるらしい。
    プランクの原則である「葬式のたびに科学は進歩する」は意外と正しくないらしい。しかし、著名研究者の突然の死後、共同研究者だった若手の生産性は急激に低下する一方、その分野の門外漢である別の若手が引用数多い仕事をし始めるとのこと。
  • 5.2:4章の若いときしかいい研究を出せないというのは本当か?
    ブレークスルーするような仕事は割とランダムでそんなに年齢に左右はされない。けど、若い方が活動的なので確率的に高くなる。ノーベル賞は死後には受賞できないので、必然的に若い時の業績しか認識されないというバイアスがある。
  • 8:理工系では、1950年代では半分以上が単著だったけど、今では80%以上が共著になっている。自己引用を除いても、共著論文のほうが引用数が多い傾向にある。
  • 8.1:スタンフォード大の研究者を対象とした研究では、共同研究はより多くの研究資金申請につながり、獲得可能性の向上と獲得額の増加にもつながるらしい。
  • 8.3:単著や学内の共同研究の割合は減り、学外との共同研究は増えている。このように距離の壁は減りつつあるけど、共同研究として選ばれるのは同じレベルの大学なので、社会的な壁が目立ってしまう。共同研究として有名大が選ばれやすいので、富めるものはますます富む状態になりやすい。
  • 9.1:スター研究者が新たに来ると、周りの人の業績も上がる。近い分野での影響が大きく、遠いと薄いらしい。それだけでなく、新たに採用しようとする教員の質も上昇するとのこと。
  • 9.2:スター研究者がいなくなったら?
    突然死や戦前のドイツからの脱出などでスター研究者がいなくなると共同研究者の生産性が劇的に下がる。謝辞に名前が多く載るような「親切な」研究者がいなくなっても同様の効果があるらしい。
  • 11.1:スター研究者を集めまくって、最強の大学・研究所を作るとどうなるか?
    たぶん崩壊する。デューク大学の英語学科でオールスターを揃えたら10年も経たずに崩壊した。たぶん科学の分野でも同様だと思われるらしい。ちなみにサッカーやバスケも崩壊するけど、野球の場合は崩壊しないらしい。
  • 13.2:著者の並び順。多くの分野では、筆頭著者と最終著者の貢献度が際立っていて、その他はあまり並び順に強く影響しない。論文撤回の理由で、著者全員が論文の並び順に同意していないという事例があるとのこと。
  • 13.4:米国の経済学では、女性の半分がテニュア審査に落ちる一方、男性は1/4が落ちるくらい男性優位。このテニュア獲得率の差は、女性研究者は共同研究で業績が認められにくいという説があるらしい。ちなみに著者順がアルファベット順の社会学では、差がないらしい。
  • 15.3.2:博士号取得者は増加してるけど、大学教職員の求人数は増えていない。
最後に読んでいて気になった点をまとめておきます。
  • 図が白黒であるにもかかわらず、文中では色を使って図の説明をしているため全く分からない箇所がある。
  • 物理に関して言うと、理論と実験がきちんと区別されているのか分からない。素粒子物理学と書いた場合、理論か実験かで共同研究者の人数に大きな隔たりがあるので、どちらを意図した記述なのか分からない。
  • 自然科学ではなくあくまで社会科学。自然科学の人からするとケチを付けたくなるような書き方や内容はいっぱいある。

世古口、『富裕層のための米ドル債券投資戦略』、総合法令出版

10/12読み始め、10/14読了。数億円くらい資産がある富裕層を想定して書かれた本。本の最後に著者の会社の凄い宣伝が入ってた。正直、資産の10%程度で買いや売りを入れても指数が動かないレベルならオルカンやS&P500のインデックス投資をしたほうがいいと思った。初心者向けに書いてるんだけど、金利上昇局面に入り、債券が下がったときにリスクフリーレートを下回ることで実質損をしている状況については説明してなくてもやっとした。

バルファキス、『テクノ封建制 デジタル空間の領主たちが私たち農奴を支配する とんでもなく醜くて、不公平な経済の話。』、集英社

10/6読み始め、10/16読了。著者はギリシャで財務大臣を経験したこともある経済学者で、左派の人。数百年前は土地を持つ人が支配する封建制だったが、近年になり資本主義に移行した。この本では、その資本主義が終わりつつあり、クラウドやアルゴリズムを持っているテック企業が支配するテクノ封建制という社会になりつつあることを解説している。
技術自体は他の会社でも真似できるのに、テック企業が安定したままでいる理由が説明されていて面白く読めた。ただ、著者の思想が偏りすぎてて、さすがにそれは言い過ぎだったり、妄想だと思えるところも多々あった。
以下メモ。大雑把に言うとテクノ封建制になった流れはこんな感じ。2008年の金融危機で銀行を救済するために多額の資金を政府が出した。それで銀行は救済されたけど、その救済に使われた金は投資にはほとんど向かなかった。その結果、その金はGoogle・Appleなどのテック企業に流れてしまい、これらの企業は手が付けられないほど成長してしまった。これまでの資本主義はテクノ封建制と呼ばれるものになり、一般庶民はクラウド農奴として、クラウド・レントである大企業に従事するようになってしまった。そして、ますます大企業にお金が流れるようになり、自社株買いなどにより大企業の経営者の資産は増えているのにもかかわらず、一般市民は貧困にあえぐという構図が出来上がってしまう。

長期株式投資、『年に471万円が入ってくる「鉄壁配当」 後悔ゼロの“早期リタイア計画”』、KADOKAWA

10/16読み始め、10/17読了。著者がアーリーリタイアを決めて、いろいろ手続きしてたら大変なことがいろいろあったので、アーリーリタイアしたときに必要な制度についてまとめた本。投資本だと思って買わないほうがいい。
タイトルの年471万円は本の内容と一切関係なくて、著者と出版社は悪質だなと思った。前書もそうだったけど、初心者向けに書いてるから詳細を省いてるのか、著者本人が理解してないけど、みんなが言ってるのでとりあえず書いてるのかの区別がつかないなど、なんか雑に書かれてる感じがする。

乾、『イニシエーション・ラブ』、文藝春秋

10/18読み始め、10/21読了。ツイ廃におすすめされて読んでみた。ミステリーと書かれていたので、どこかに仕掛けがあるだろうと思って読んでみたところ、本の後半であるside-Bで主人公が変わってるように描写されていたので、割と早い段階で確信に至ってしまった。たぶん、この仕掛けに気づかずに全部読んでもそこまで面白いと思わなかったはず。
ネタバレとして本の内容を解説しておくと、この本はside-Aとside-Bと二つの章に分かれています。side-Aは、主人公の鈴木が大学4年生のときに2つ年下のマユと出会い、恋人として過ごすエピソード、一方、side-Bは、その主人公が大学を卒業し、静岡の企業から東京の本社へ出向し、マユと遠距離恋愛になってしまい、最終的に浮気し、別れてしまうという1年後のエピソードと読めるように書かれています。しかし、最後の2文でside-Aとside-Bの主人公が実は別人だったと種明かしされ、side-Aとside-Bが実は同じ年の出来事だったと判明します。つまり、side-Aは、マユが浮気相手(side-Aの主人公)と過ごすエピソード、side-Bは、マユが彼氏(side-Bの主人公)となっているわけでした。読み終わると、確かにいろいろ伏線になっていた箇所はあったわけですが、
  • side-Aの主人公はたっくんと呼ばれるが、本名と関係ない。(つまりマユが本命と浮気相手を言い間違えないようにしている。)
  • side-Aでは煙草を吸う表現が多いが、side-Bでは一切出ない。
  • side-Aの主人公の大学の専攻は数学、一方side-Bの主人公の専攻は物理。(最後から4ページ目で判明。)
  • side-Aの主人公は東京の会社から内定を貰っており、東京に行く決意はあったはずなのに、side-Bでは東京にとにかく行きたくない描写が目立つ。
などの雑な伏線もいろいろあり、side-Bを読み始めた段階から主人公の特徴の違いに気づくいる人は多いはず。確かに、side-Aとside-Bの主人公は別人で、同時期の出来事だと知って読み返すと、side-Aのエピソードは少し見方が変わるし、登場人物の印象はだいぶ変わると思ったけど、わざわざ二度見する本ではないと思った。
慶應大卒の登場人物が京大院卒をディスってたので、イラついた。

浅野・木村・田中・武藤・栁、『先輩データサイエンティストからの指南書 実務で生き抜くためのエンジニアリングスキル』、技術評論社

10/20読み始め、10/29読了。
株式会社ブレインパッド出身の方が書かれたデータサイエンティスト向けの本です。対象読者は
  • Pythonを使った基礎的なコーディング、テーブルデータの前処理
  • 分析手法や機械学習アルゴリズムの基本とその実装
  • scikit-learn等を用いた機械学習モデルの作成
というような「データサイエンスプロジェクトにおいて頻繁に使われている技術や手法」を理解している人となっています。
目次は、
  1. 実務で生き抜くためのエンジニアリングスキル
  2. 環境構築
  3. コードの品質管理
  4. データの品質確認
  5. 機械学習モデルの実験管理
  6. プロトタイプ開発
となっており、データサイエンティストとして働いている人が今後データサイエンティストとして働きたい人向けに知っておいて欲しいことがまとめらています。
2025/10/29現在において、Amazonレビューでの評価が高い本となっています。

個人的な本のレビューは、すでに知っている人からすると高評価となる本。しかし、対象読者の要件を満たしている人であっても経験がない領域だとほとんど参考になるところがない本だった。なぜそのツールを使うのか、どのように使うと効果的なのかにという説明はあるものの、そのツール自体の使い方はほとんど説明がない。例えば、Gitでコミットするときのコメントの書き方についての説明はあるが、Git自体の使い方の説明はないです。
対象読者としては、本に書かれていたことに加え、
  • 機械学習エンジニアとしてすでに働いているジュニアの人で、他の部署との連携は未経験の人
  • コマンドプロンプトの使い方を知っている
  • Gitによるプロジェクト管理の経験がある人
  • 各章の内容についてある程度の知識があり、この本を読むことが理解の整理に繋がる人
を満たしている人だと感じた。

宇田川、『アルゴリズム・AIを疑う 誰がブラックボックスをつくるのか』、集英社

10/24読み始め、11/1読了。車運転するのに、車の構造は知る必要はないけど、アクセル踏めば進むくらいは知っておかないといけない。それと同じように、アルゴリズムやAIに関して知っておいて欲しいことを解説した本。第一章では、具体例を交えつつアルゴリズムとAIについて、続く第二章では、グーグル検索など実際に企業が提供しているサービスでどのようにアルゴリズムが使われているかを解説している。第三章では、アルゴリズムに起因する社会問題について取り扱っており、例えば、Twitterにおいてインプレッション数を稼ぐために虚偽の情報を流すなどの問題が指摘されていた。第四章では、タイトルにあるブラックボックスとはどういう意味かという説明がされていた。アルゴリズムにおけるブラックボックスとAIにおけるブラックボックスは意味合いが違うことやブラックボックスはどうしてできるかなどが説明されていた。最後の章では、著者の研究テーマであるメディアリテラシーについて書かれていた。
アルゴリズムやAIについてあまり詳しくない人が読むのにちょうどいい内容と難易度だと思った。

酒井、『読むだけで「儲かるアイデア」を思いつく 小さなビジネスモデル100』、ソシム

11/3読み始め、11/6読了。アイディアは既存のものの組み合わせであるという考えのもと、面白そうなビジネスを100個紹介している本。自分が知らないサービスを知ることができて面白かったし、新しいアイディアは基本的に既知のアイディアの組み合わせであるということを再認識できてよかった。残念な点はいくつかあり、例えば、小さなビジネスモデルとあるが、そんなに小さくはないこと。特に大企業が取り組んでいるビジネスもあり、小さい企業が大きくなったというより、大企業やすでに体力のある企業がいい思いついた素晴らしいアイディアだったりする。出版後、数か月しか経ってないのに、紹介されているポムポムプリンカフェが営業終了になっていたり、縮小しているビジネスもあった。

夕木、『絞首商會』、講談社

11/9読み始め、11/16読了。方舟が面白かったので、同じ作者の本を読み始めた。方舟を☆5、十戒を☆4とするなら、この作品は☆3~3.5くらい。その2作と違い、大正時代の設定なので、その時代に合わせた表記になっていた。例えばパリではなく巴里とか。
まず、話の進み具合に対して、話が長い。全部で600ページ弱あって、最後の結論までに550ページ程度ある。550ページ程度どっちの方角に行ってるのかわからないような話が続いている。章ごとに視点が変わってしまうため、かなり混乱する。これまで井口という人視点だったのが、ある章だけその姪視点で書かれている。そして、井口のことはその章だけ叔父と表記されている。考えれば分かるけど、小説なのにスラスラ読めないのはストレスだった。
他にも、登場人物が喋っている場面なので、分かりやすい日本語である必要はないけど、「博士は、わたくしの叔父の、梶太郎の兄に当たるわけですけれど、その妻の妹さんの長男だったのです。」というセリフがあり、めちゃくちゃ混乱してしまった。また、3人が会話している場面で誰が話しているか区別が付きにくかったり、時系列が入れ替わったりと読みにくい箇所がいくつかあった。
処女作だからそういう読みにくいところはあったけど、最後の解決編で、これまで散らばっていた話題が一つにまとまるところや、大正時代であるが故の設定など趣向が凝らされていて読みごたえはあった。ただ、600ページは長すぎたのと、方舟や十戒と比べると☆3~3.5くらいが妥当だった。

野宮、『殺し屋の営業術』、講談社

11/17読み始め、11/18読了。営業でトップ成績を収めている異常者が殺人事件に巻き込まれてしまい、仕方なく殺人の営業をするという話。第71回江戸川乱歩賞受賞作で「異例の超ハイレベル最終候補作の中で、ぶっちりぎり第1位!」は納得の出来だった。面白くて、2日で読み終わってしまった。

シュローダー、『スノーボール(改訂新版) 上 ウォーレン・バフェット伝』、日本経済新聞出版

11/16読み始め、11/27読了。バフェット公認の伝記。今まで読んだ本の中で一番詳しく書かれていたので、納得だった。内容はバフェット家の歴史と母親の家系の歴史から始まり、バークシャー・ハザウェイを買収するまでについてだった。本人が失敗だったと言っているバークシャー・ハザウェイの買収の経緯が詳しく書かれていて面白かった。しかし、文庫本で500ページあるので、とにかく長い。

横田・宇賀神、『いちばんやさしいGit&GitHubの教本 第3版 人気講師が教えるバージョン管理&共有入門』、インプレス

11/20読み始め、11/30読了。2023年2月くらいに第2版を読んでいたので、実質再読状態。改めて読むと、Gitbash・VScodeの設定方法、コマンドプロンプトの説明などが丁寧にされており、初心者に優しい本だと感じた。逆に言うと、最低限のgitコマンドを知っている人にとっては新しいことがほとんどない本なので、一番最初に読むといいけど、そうでないならほかの本を読むほうがよいのだと分かった。

福室、『投資は金利が9割 運用歴30年のプロが教える「儲ける技術」』、KADOKAWA

11/27読み始め、12/2読了。出版社が本を売りたいために付けたタイトルで、ほぼタイトル詐欺。自分はこのタイトルから、株式投資で成功するためには金利を知るといいということを伝えたい本だと想像していた。読んでみると、株式投資はおろか投資に関してもほぼ記載がなかった。債券に関する基本的な説明が3章まで続き、4章にMMTっぽい著者の主張が続く。MMT寄りの実務家の本を読みたいなら読んでみると面白いかも。自分は、国が自国通貨建てで国債を発行しまくっても日銀や銀行の誰かが受け入れるから破綻しないという主張に無理があると思い、眉唾だと思いながら読んだ。

雨穴、『変な地図』、双葉社

12/5読み始め、12/7読了。前作と比べると、挿絵がかなり増えており、日ごろ本を読まない人でも情景が想像しやすいような配慮があった。そのため、400ページを超える分量があるけど、他の小説と比べるとページ数の割に分量は多くなかった。変な家、変な絵と比べると、ホラー要素が少なくて、そこまで引き込まれなかった。

横山、『過疎ビジネス』、集英社

12/2読み始め、12/7読了。防災ビジネスを手掛けるワンテーブルという会社が福島県国見町から寄付金還流して儲けていたという話。DMMが企業版ふるさと納税で国見町に寄付し、その寄付されたお金で救急車12台(中古車2台含む)をDMMの子会社から購入することで、寄付金を還流していた。本来なら自治体の事業なので、入札で行わなければならないが、救急車の要件をDMMの子会社しか扱っていないタイプにすることで同業他社を排除していた。こういう国や地方自治体の補助金で荒稼ぎするコンサルが他にもいるんだろうなぁって悲しくなった。ただし、こういうコンサルを受け入れるかどうかを判断するのは首長や議会なので、コンサルだけが悪いわけではない。

近藤、『疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた』、講談社

12/9読み始め、12/13読了。ベストセラーになってる『疲労学』『休養学』みたいな本を読みたいけど、これらよりしっかりした本を読みたいということでブルーバックスを読んでみた。この本では、一般人の想像する疲労よりも慢性疲労、鬱病、コロナウイルスによる倦怠感を主に扱っていた。面白かったけど、もっと一般人の想像する疲労の本を読みたいと思った。
この本によると、『「疲労」と「疲労感」をきちんと区別している本であれば、専門家が書いている。そうでない場合、専門家ではないか、一般向けのために専門家があいまいに書いているかのどちらか。』ということらしい。

甘利、『脳・心・人工知能〈増補版〉 数理で脳を解き明かす』、講談社

12/8読み始め、12/16読了。1章と2章は前置きで脳について生物学的について知られていることの解説だった。3章から5章が脳についての数理的研究の説明で、6章と7章が初版のまとめ的な章だった。初版の出版後大規模言語モデルの登場でAIが進化したのと2024年のノーベル賞がAIに対してだったので、増補版で8章以降が追加されてた。
ブルーバックスなので専門的なことはあんまり登場しないので、甘利さんの研究を知るには物足りなく感じたけど、読んでよかった。逆誤差伝搬の何が画期的だったのか知れてよかった。

毛内、『読書する脳』、SBクリエイティブ

12/17読み始め、12/19読了。読書すると脳にとっていいことがあるということを分かりやすく説明した本。とてもよかった。第1章と第2章は現代の読書環境の紹介と読書による脳へのメリットの紹介だった。読書環境の紹介では図表などのデータを用いて、紙の書籍の代わりに電子書籍やブログ・SNSなどの活字媒体に移行しつつある状況やスマホの通知などで脳への負担がかかるせいで、読書に割くだけの気力を持てないことなどが紹介されていた。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読んで、タイトルへの解答がただの作者の感想で全然満足できなかった人も少しは納得できる内容だった。(ただし、主題は脳科学に基づいた読書についてなので、そこまでページ数はないです。)
印象に残っているのは、小説などスラスラ読める本なら紙でも電子書籍でも差がないけど、じっくり読むような専門書の場合、紙の書籍のほうが記憶に残りやすいため、電子書籍より優れていると紹介されていたこと。諸説ありそうと思ったけど、やはり紙で読むほうがいいんだなと。

夕木、『サーカスから来た執達吏』、講談社

12/15読み始め、12/21読了。方舟、十戒、絞首商會に次いで、4冊目を読んだ。借金を返すために家系の途絶えた伯爵家の財宝を探すという大正時代の冒険ミステリー。設定としては、方舟や十戒より絞首商會に近かった。方舟と十戒の出来があまりにもよかったので、それらと比較してしまうと見劣りしてしまったのと、自分はそもそもこういう作品があまり好みでないっぽいことが分かった。